米・酒・塩・銭
■ 古い単位
酒1斗？
お酒の量を表すのによく使われる「升」「斗」「石」などは、日本で古くから使われてきた「尺貫法」の中の、体積を表す単位です「升」。今も「一斗缶」「一升瓶」は有りますね。
ちなみに、長さの単位を「尺」（しゃく）、質量の単位を「貰」（かん）で、一貰目（いっかんめ）などと言っていました。
尺貫法は、701年の大宝律令によって制度化されたようです。
1951年の計量法成立以降も、お酒の世界では「ml」と「升」「斗」「石」は常用されます。
1石（こく）は、約180リットル（180.390 l）
1斗（と） は、約18リットル（18.039 l）
1升（しょう）は、約1.8リットル（1.8039 l）
1合（ごう）は、180ミリリットル（180.39 ml）
１合桝は、居酒屋でも見られますね。
現在、メートル法になったので、古い図面の木造建築を修理する時には、尺からメートルに換算されます。今ではコンピューターが自動でやってくれますね。
■ 石高
収穫した米穀の数量を「石高」と言います。
太閤検地以降、土地生産高を米の量に換算して表示したもの。
石は米の生産量を表す経済単位でもあります。太閤検地で知られますね。
イメージとしては１０万石の大名は、１０万人が食べる米を生産できる経済規模ということ。
ながらく米で納税していましたが、明治時代にはお金で納税するようになりました。
米相場は1升（約1.5 kg）あたり、50文から60文、凶作では100文以上となり、凶作でも税として収める米の両は変わらなかったため、飢餓・餓死がある地域では百姓と大名のトラブルを生んだ。
一万石大名の年商は、今の米菓に換算すると９億円くらい。
賃金ベースで換算すると３５億円くらいか。
■ 兵を動かすには飯と俸禄が必要
腹が減っては戦はできぬ
織田信長
長篠設楽(ヶ)原の戦い（ながしの したら(が)はらのたたかい）の兵力は
織田・徳川連合軍：３万+８千
武田軍：１万５千（騎馬１８００）
本能寺の変直前の石高が約790万石だったようです。
織田家１６万兵
明智光秀が作っていた「軍役掟」（1581年時点）
1000石では、兜5、馬5、指物10、槍10、幟2、鉄砲5
ここから察するに、騎馬５、長槍歩兵１０、鉄砲歩兵５だったようですね。
そして、織田軍だけ大砲を備えていました。
織田家の軍船には１隻あたり３門の大砲を搭載していたと記録されている。
実際には各領地には米以外の収入もあるので石高の数値のみでは国力は計れないため、石高は表高（おもてだか）、あるいは草高（くさだか）とも呼ばれた。
■ てんぽな 姫路の固寧倉 備えあれば憂いなし
民を飢えから守る政策
江戸時代の姫路藩に「固寧倉」（こねいそう）と呼ばれた非常用食糧備蓄倉庫があった。固寧倉の名称は幕府儒者の林述斎が『書経』の「民惟邦本、本固邦寧」から撰んだものと伝える。
1809年、飾西郡町村組大庄屋らが河合寸翁に備荒貯蓄を目的とする倉庫の創設を建議し、姫路藩主酒井忠道がこれを取り上げ、各村からの創設願をうけて1ヶ村～3ヶ村に1ヶ所、備荒貯蓄を目的とする「固寧倉」が設置されていき、1813年までに60ヶ所、1846年までに288ヶ所に設置された。
貯蔵した穀物は、平時には領民に低利子で貸し付けをしていた。
1833年（天保4年）～1839年（天保10年）の「天保の大飢饉」（江戸三大飢饉の一つ）発生時には大いにその効果を発揮し、姫路藩では餓死した人数が近隣の他地域に比べて少なかったと伝えられている。
姫路藩の米は固寧倉から出し、冷害でも瀬戸内は不凍港なので魚介類や塩が安定供給された。
田原藩や米沢藩でも非常用食糧備蓄倉庫「義倉」が整備されるようになった。
■ 非常用食糧備蓄倉庫が無い藩は餓死と暴動が起きた
逆に備えを怠ったり新田開発に依存していた諸藩は酷いインフレに陥った。
大坂では、毎日約150人から200人を超える餓死者を出していたという。
7年の飢饉で全国130万人以上が餓死したという。（総人口3200万人時代）
中米ニカラグアにあるコシグイナ火山で大噴火が起きて、地球全体に火山灰が広がり太陽光が遮られて気温が低下した冷害が日本でも大飢饉の原因とされる。
現在も固寧倉遺構が現存する
私の地元（姫路の灘）には3箇所有る
・姫路市東山570-5
・姫路市白浜町宇佐崎（白浜町乙514）
・姫路市飾磨区妻鹿1128
■ 国恩祭
播州地方の大飢饉の影響による人心荒廃を憂いた地域の神職が集い、『祓講』という神社の組合組織をつくり臨時大祭を行った。
現在22の神社が加盟し、輪番で行われる「国恩祭」となる。
通常の秋祭りも行われるので、輪番が周ってくると年に２回の祭りが春と秋に行われることになる。年に２回も大祭を行えない町では国恩祭を断るので、祭り好きな町には22よりも早い周期で輪番がまわってくる。
■ 銭
江戸時代まで私銭など鐚銭が出回り撰銭がしばしば行われるようになる。
1608年には金一両＝永楽銭一貫文＝鐚銭四貫文と定められた。
1700年の御定相場では、1文は、金1/4000両、銀0.015匁と定められた。
黒船来航当時、江戸幕府は為替相場を理解できず、金が流出（外国が搾取）した。そして金の総量も流出した量も江戸幕府は把握できないでいた。
維新政府1868年、太政官布告第306号
鉄一文銭：1文を基準とし
寛永通寳銅一文銭：12文
寛永通寳真鍮當四文銭：24文
文久永寳當四文銭：16文
天保通寳當百文銭：96文
明治4年（1871年）の新貨条例では旧貨幣の単位について、
一両すなわち永一貫文を以て一圓に充て、一厘は永一文に当てるとされた。
■ 金本位制
明治4年（1871）5月、新貨条例が制定され、貨幣制度の全国的統一と金本位制が実現しました。
純金二分（1.5g＝1500mg）を円の定量とし、円の100分の1を銭、銭の10分の1を厘とする十進法による貨幣単位も定められました。
１米ドル=１両=1円=100銭=1000厘
明治時代の1円は、今の約千数百円～3,800円の価値があった。戦時には物価・人件費がハネ上がった。
『物価の世相100年』より
大工の日当50銭、米価1升5銭5厘、銭湯1銭、円価1円で酒1斗買えた。
■ 塩
人間の生活や経済に欠かせない塩
昔、塩は貴重で、姫路のような塩の大量生産地はお金の代わりになり潤っていました。古来より交通の要衝でもあったので、流通させやすかった。
日清戦争で塩田人足の人件費が10倍20倍に跳ね上がったため塩の価格も値上がりした。
自由化まではタバコと塩は専売公社扱いで、売る店が限られた。
タバコ屋・米屋
日本専売公社は、家庭用の塩についても、小分け包装 された商品を主流とすることを目指し、1960年、ポリ袋入りの食塩600g（小売価格： 20 円）と、紙袋入りの食塩3.2 ㎏（同：100 円）を発売した。
■ 戦国時代～宣教師と奴隷商人
話は前後するが、秀吉の禁教には理由があった
日本で奴隷制をとっていたのは九州のキリシタン大名のみ
日本人の若者を集めてキリスト教の宣教師配下の奴隷商人に譲り渡し5万人が海外に奴隷として売られたという。信仰、武器、技術、資金援助の見返り
それを知った豊臣秀吉がキリスト教の布教活動を禁止し、キリシタン大名には改宗を求めた。秀吉の右腕（軍師）であった黒田官兵衛も含まれる。
ヨーロッパの国では、塩で奴隷が買えた？
古代ギリシャでは、体重50キロの奴隷と塩50キロを交換したと伝わる。
古代ローマでは、兵の給料は塩で支払われ、兵は塩の物々交換で食料などを手に入れていたと伝わる。
塩の価値が下がる
昭和中期の技術革新で塩田が消えた
技術が進み、海水から工業的に（工場生産で）重要な金属（金、銅、亜鉛、マグネシウムなど）を抜き取り、その余ったものを「塩」として販売するようになったため、大量に余る塩の価格が50年前に急激に下がって殆どの塩田が廃田となってしまいました。
塩田は粘土質であることと、濃い塩分が土壌に残っているため、跡地利用が難しく長らく産廃場や空き地として放置された後に、近年になって大規模太陽光発電所に転用される事が多くなった。結果、公害問題にもなっている。
資源にも乏しく耕地面積も少ないわが国がここま で経済発展を遂げることができた理由は、一義的には、国民の勤勉さ、教育レベルの高さ、 貯蓄性向の高さ、生産性の高さ等がある。
日教組の競争しない教育によって、日本の子供の学力低下が問題になりつつ有る。（戦後教育で、勤勉さも教育レベルも低下している事が分かった）
我が国は「課題先進国」と称されるように、諸外国に先んじて人口減少、少子高齢化とそれに伴う生産年齢人口の減少と生産性の低迷、都市部への人口集中が進んでおり、加えてインフラの老朽化や情報リテラシーの格差、大規模自然災害が多発するようになった。
近年は不良難民問題、犯罪外国人問題も大きくなりつつ有る。
■ 株主や社員に恩恵なし、悪質な日本企業
日本企業は内部留保が大き過ぎると言われる
日本は2022年時点でOECDの主要先進国中、最も給与水準が低い。
OECDの平均値を１割下回る。
ドイツやカナダの7割弱、米国の約半分という低水準ということになります。
貧困が問題となっており、日本企業は儲かっても社員を搾取していることになる。
日本の6人に1人、総人口の1/6にあたる約2,000万人が貧困となっている。
日本の一人当たりGDPは約750万円で、2023年時点で38位と低迷しています。
■ 破産と給与
企業が破産しても、社員への給与支払い義務は免除されない。
知ってか知らずか、破産した企業経営陣は給与は支払えないと発表したりするが、それは違法行為である。