豚コレラ情勢をサッカーにたとえてみた
2019年2月9日現在、岐阜県を端に発した豚コレラが獣医師、畜産農家の必死の防御をかいくぐり全国へ拡大しつつある。
事態が日を追うごとに悪化するに従い、本感染症の抱える問題が明らかになってきた。今回はそれについて一般の方にもわかりやすくまとめようと思う。
感染症対策はサッカーに似ている。敵チーム名は豚コレラ。対して我ら日本畜産チームは農水省監督の下、獣医師や畜産農家選手で敵を迎え撃つ。
過去26年に渡る戦いにおいては、農水省の公布する飼養衛生管理基準と家畜伝染病予防法の二重フォーメーションで、敵の侵入を許さず圧倒的に勝利してきた。
しかし、2018年夏、戦況が大きく変わることになる。
豚コレラの発生
なんと数多のDFをすり抜けていきなり日本のど真ん中・岐阜県に敵が突如として現れ、一点奪い去っていったのだ!
これには日本選手監督共々「何かのまぐれだろう」と思ったに違いない。
県内農家への感染拡大
ところが敵の攻勢はこれで収まることはなく、猪への感染が確認された。敵選手が猪突猛進とばかりにボールに先行して自陣に入り混んでいる気分だろう。
当然獣医師がマークし、排除に向かうが、敵に追加点を許すことになった。
獣医師・農家一同は
「敵を甘く見ていた。これ以上突破を許さないよう緊張感を持って挑もう」
と気を引き締めて対策に挑む。
ところが、選手が本気になったにもかかわらず、更に3得点、4得点と追い討ちをかけられてしまった。
一体これはどうしたことか。何かがおかしい。
敵の正体
ここで改めて敵を分析し直すと、新たな事実が明らかになる。
どうやら敵は「豚コレラ」を名乗ってはいるものの、
かつて完膚無きまでに打ち負かした日本人選手は全員引退。眼前の敵チームは中国あるいはモンゴル人選手で構成されているというではないか!
(本ウィルス株は過去流行していた日本株ではなく中国・モンゴル株だった。なおアフリカ豚コレラは豚コレラとは全くの別物である。)
家畜伝染病予防法による検査の穴を突かれていたのはどうやらこのためであろう。
同じ人種でも少林サッカーには勝てずフォーメーションも突破されているらしい。
そうこうしているうちに繁殖農家のオウンゴールや飼料業者のミスが重なり、 今や5府県にまで拡大してしまった。
今後の展開
敵に危険なタックルをするに等しいワクチンは監督は使いたがらないようだ。観客の印象を悪くする(貿易上不利になる)し、何より真に排除したいイノシシ選手にはタックルが効くのかどうかも定かではない。イノシシが排除できないならば、農家に対してワクチンを使うメリットが少ない。
監督は、これまでの失点が選手の不手際によるものが大きいと考えている。
しかし岐阜県、愛知県の検査体制は法に則ったものであり、当初の作戦通りに 執り行った現場に責任を押し付けるのはトカゲの尻尾切りもいいところだ。
短期的には新規感染の収束を待ち、試合が落ち着いたタイミングで作戦を立て 直すことになるだろう。
今後、考えられる方策として
・愛知、あるいは大阪での再発に合わせてワクチン使用
・岐阜県の野生イノシシに対する大規模な狩猟あるいは経口ワクチンの散布
などであろうか。
ワクチンも狩猟もハードルが存外に高いために、大臣・知事は積極的になれないと思われる。
試合はまだ続いている。
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