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【速報】第8回「高校生直木賞」受賞作決定のお知らせ

高校生たちが選ぶ「今年の1冊」――熱い議論の結果は?

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 第8回高校生直木賞(同実行委員会主催、文部科学省ほか後援)の選考会が、5月30日13時より、オンラインにて開催され、熱い議論の結果、下記2作品が受賞作として決定いたしました。

 今年の参加校は32校で、新型コロナウイルスの影響もあり、全校がオンラインでの参加となりました。

■受賞作

伊吹有喜 『雲を紡ぐ』(文藝春秋 刊)
加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社 刊)


■高校生直木賞とは

 全国の高校生たちが集まって議論を戦わせ、直近一年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選ぶ試みです。フランスには、読書教育の一環として25年以上にわたって行われている「高校生ゴンクール賞」(毎年2000人を超えるフランスの高校生たちが参加し、権威ある仏ゴンクール賞の候補作の中から自分たちなりの1作を選ぶ)があります。その日本版を目指して2014年5月に第1回が開催され、『巨鯨の海』(伊東潤)が受賞。以降、第2回『宇喜多の捨て嫁』(木下昌輝)、第3回『ナイルパーチの女子会』(柚木麻子)、第4回『また、桜の国で』(須賀しのぶ)、第5回『くちなし』(彩瀬まる)、第6回『熱帯』(森見登美彦)、第7回は『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(大島真寿美)が選ばれました。第8回となる今回は、全国32校、約230名の生徒が選考に参加しています。

■高校生直木賞実行委員会 代表 伊藤氏貴氏のコメント

 昨年に続き、新型コロナウイルスのためにオンライン開催になりましたが、かつてないほど白熱した議論になりました。議論の深まる中で推薦作を変える学校も多くありましたが、どうしても決着がつかず、最終投票でまったくの同点。高校生直木賞として初の二作同時授賞となりました。議論の内容は「オール讀物」7月号に抄録されますので、ぜひ熱の一部を感じてください。

■受賞者 伊吹有喜氏のコメント

 このたびは高校生直木賞に『雲を紡ぐ』を選出していただき、ありがとうございます。
 本の世界は果てしなく、ページをめくれば古今東西のあらゆる出来事を体験し、たくさんの登場人物たちと心を通わせることができます。これからも本の旅をぜひ続けていってください。皆様の道中が喜びに満ちたものでありますように! そしてその中の一冊にこれからも私の作品が入っていたら、このうえなく光栄で嬉しいです。

■受賞者 加藤シゲアキ氏のコメント

 この度は高校生直木賞を授与していただき、誠にありがとうございます。
 受賞の知らせを聞いた時、不意に『荒野の果てに』が頭の中に響きました。オルタネートは、若い世代に読書の楽しみを知ってもらいたいと思って書いた作品です。作家になってから時折、「加藤くんの本を読んでみたいけれど、小説は難しくて読めない」と言われることがあり、それを聞く度に彼らは幼い頃に楽しい小説に出会えなかったんだろうなと感じていました。ならば自分が、若い世代が純粋に楽しめる作品を書き、小説を好きになってもらおうと考え、このような高校生の群像劇を執筆するに至りました。自分の願いが叶い、実際に高校生の方々に届いたのであれば、これ以上に幸せなことはありません。
 世界には素晴らしい本がたくさんあります。読者の方々には、この本をきっかけに、人生最高の一冊と出会う旅に出発してほしいと思います。

■今回の参加校一覧

立命館慶祥高等学校/北海道函館西高等学校/岩手県立盛岡第四高等学校/茨城キリスト教学園高等学校/渋谷教育学園幕張高等学校/埼玉県立浦和第一女子高等学校/埼玉県立所沢高等学校/聖学院高等学校/東京成徳大学高等学校/豊島岡女子学園高等学校/成城高等学校/渋谷教育学園渋谷高等学校/東京都立富士高等学校/麻布高等学校/田園調布学園高等部/国際基督教大学高等学校/晃華学園高等学校/東京都立国立高等学校/横浜富士見丘学園高等学校/向上高等学校/横須賀学院高等学校/加藤学園暁秀高等学校/藤枝明誠高等学校/静岡県立磐田南高等学校/名古屋大学教育学部附属高等学校/愛知県立昭和高等学校/豊川高等学校/滋賀県立彦根東高等学校/清教学園高等学校/愛媛県立八幡浜高等学校/筑紫女学園高等学校/鹿児島県立松陽高等学校

■第8回「高校生直木賞」候補作

伊吹有喜 『雲を紡ぐ』(文藝春秋) 
伊与原新 『八月の銀の雪』(新潮社)
加藤シゲアキ 『オルタネート』(新潮社)
西條奈加 『心(うら)淋し川』(集英社)
馳星周 『少年と犬』(文藝春秋)

選考結果の詳細は「オール讀物」7月号(6月22日発売)に掲載予定です。



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