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無印良品銀座にてイベント開催 その1

「大きい本の工房 hon ami」がトークイベントを開催しました。
場所は、無印良品銀座店。
講師としてご登壇いただいたのは、
ブックアーティストの太田泰友さんです。

ブックアートってなに? 大型本とは?
といったテーマで、太田さんに本作りの魅力についてお話しいただきました。
司会進行していただいたのは、「無印良品 くらしのラジオ」でパーソナリティーを務める清水洋平さんです。

イベントタイトルは「アートとしての本」。
全2回の構成で、第1回のテーマは「ブックアートと大きい本の世界」です。

太田さんは本に対してどんな思いがあるのか、
なぜブックアートに魅せられたのか、
といったお話を踏まえて、
実際のブックアート作品をご紹介していただきました。

最初に太田さんが取り出したのは、「Frucht I」と題された作品。
Fruchtはフルーツのドイツ語表記です。
レモンを本という形に落とし込むとどうなるのか、ということがテーマのこの作品、まず見た目が非常に特徴的です。

まるで立方体のような形状で、一般的な本の寸法から考えると、「本らしさ」というのはなくなっている印象を受けます。側面のひとつが糸で綴じられていることで、この物体は「本」として機能している、と言えるのかもしれません。

いきなり「本って何?」という哲学的なテーマを突き付けられているような感覚でした。

印刷されているテキストはすべてドイツ語のようです。
1ページは2mmほどの厚みがあり、めくっていくと、「黄色くて」「果汁があって」・・、といったレモンの説明テキスト、そして実際のレモンをスライスして1枚1枚スキャンした原寸の断面画像が次々と現れます。

作品の3つの側面には、テキストに囲まれるようにして、
レモンの原寸のシルエットが浮かび上がっています。
(ちょっと伝わりづらいですね。近いうちに、この部分の 
 動画をご覧いただけるようにしたいです)

テキストの内容は
・レモンを買った日時場所などの記録情報
・レモンを辞書で引いたときに出てくる言葉
・レモンを使ったレシピ
というように、「言葉」の側面からモチーフであるレモンが表現されています。
ちなみに、もう1つの側面である背に印刷されているのはタイトルです。
これも、この作品に「本らしさ」が出ている部分ですね。

用紙はレモンの質感に近い素材が使われており、
色はもちろん黄色で印刷されています。

このように、「言葉」「画像」「質感」といったさまざまな角度から
徹底的に「レモン」の情報を入れ込み、
それらが統合されて「本」としてひとつの作品が存在しています。

そもそもなぜレモンなのか。 
太田さんは特にレモン自体は好きではないそうです。
ただ、あるモチーフがあり、それを本に移し替えるとどうなるのか? 
という、太田さんがブックアートをつくるうえでのテーマがあり、
その素材が今回はレモンだった、ということのようです。
この「移し替える」という行為の精密さが、本当にすごい。
言葉では伝えづらいのですが、視覚的な面白さがこの作品にはつまっていました。

ちょっと本の構造を変えることによって、
「普段見逃しているものに意識的になる」とおっしゃっていた太田さん。

「本って何?」、という身近すぎてなかなか考えることのないこのテーマは、大型本の制作にも通じるものがあると思いました。
ちなみにこの「Frucht」シリーズには、キウイやトマトもあるとのこと。
これらもすごく気になります。

つづきがありますが、また次回! 

ちなみに、イベント第2回は7月19日(金)。
同じく無印良品銀座にて開催されます。
太田さんの新作大型本も公開しますので、
ぜひご参加ください!!