世界にひとつの巨大スケッチブック -1-
さて、ずいぶんと更新が滞ってしまいましたが、
「大きい本の工房 hon ami」の最初の作品についてご紹介です。
タイトルは、「YUKIMASA IDA ART BOOK」。
現代アート作家・井田幸昌さんのためにつくられた、
世界にひとつの大型スケッチブックです。
造本監修・製本を手がけたのは、ブックアーティスト・太田泰友さん。
表紙も本文も真っ白なこの巨大スケッチブックには、
これから何年もかけて井田さんの筆が入り、
やがて唯一無二のアートピースへと生まれ変わります。
この大型書籍がどのように作られたのか、
この場を借りて少しだけご紹介します!
世界に一冊の大型本をつくろう!
「でかいスケッチブックって、つくれないんですか?」
きっかけは、井田幸昌さんのこの一言でした。
井田幸昌さんは日本を代表する現代アート作家。
活躍の場は国内にとどまらず、パリやシカゴなどの世界各地で個展が開かれており、彫刻や版画など、絵画以外の作品にも精力的に取り組まれています。
ダイナミックな筆致で描かれる巨大な作品が多く、昨年、京セラ美術館で開催された井田さんの個展は圧巻のひとことでした。「現代アートって、こんなにかっこいいのか!」と、迫力のある作品の数々に圧倒されてしまいました。
この井田さんが日々の作品制作の場で、巨大な書籍をスケッチブックとして使っていたら・・・、想像するだけでワクワクしてきます。
というわけで、この企画は「hon ami」最初の作品としてもふさわしいと考え、さっそく制作に着手することになったのです。
本をアートとしてつくりあげる
このスケッチブックの造本監修・製本をお願いしたのは、
ブックアーティスト・太田泰友さんです。
太田さんは、日本人で初めてドイツにおけるブックアートの最高学位マイスターシューラ―号を取得された方で、アーテイストであると同時に優れた製本技術も持っている稀有な存在です。
「ブックアートってなに?」という疑問もあるかと思いますが、
そのお話も追々していくとして、
ここでは、太田さんがどのようにして巨大スケッチブックをつくりあげたのか、ということをご紹介したいと思います。
とにかく大きくてカッコいい本であれば、という井田さん側からのご要望に応えることができるのは太田さん以外にいない! と考え、この企画を依頼したのです。
表紙にデザインを入れるか? といったことも事前に打ち合わせをしましたが、結論として、真っ白な本に井田さんが筆を入れていくことで、この本の価値は唯一無二のものになると考え、奥付以外はすべて白紙にすることに決まりました。
制作が本格的にスタートしたのは、2023年11月。
順を追って、巨大スケッチブックが出来上がる過程をご紹介いたします!
(世界にひとつの巨大スケッチブック 第1回 おわり)