紅茶と白いカップ
アフタヌーンティーは
やはり紅茶でしょうと、
新しい箱を取り出した。
「マックスウッズ」の
ブロウクンオレンジペコ。
知らないブランドだが、
ロンドンに住む叔母から
いただいたものに違いない。
箱に記載されている事柄は
「スリランカの霧の丘、
標高2000mのお茶園で
手摘みをした高級茶」とか。
とても小さく細かい茶葉で
「一人スプーン一杯の茶葉で
新鮮な沸騰したお湯を注ぎ、
3分から5分待つこと」。
ゆったりした穏やかな気持ちで
熱く豊かな紅茶を飲みたい。
棚の上から白いティーカップと
上品な白地に薄い青緑のソーサー、
NARUMIのボーンチャイナを出す。
広く平たいカップに紅茶を注ぐと、
まさに紅く美しい透明なお茶が
ほのかな湯気とともに湛えられる。
湯気ごとティーカップを鼻に、
何とも言えない素晴らしい香り。
スリランカの麗しい王女が、
目の前にぼんやり現れてくる。
口に含めば温かく優しく甘く、
さらに飲めば渋味が増してくる。
紅茶の味と香りの変幻さに
目を瞑って頭と心で酔いしれる。
素晴らしい紅茶に上品な白いカップ。
この取り合わせで午後のひとときが
うんと幸せになってしまうのである。