白百合の絵
白い百合が綺麗に咲いていた。
朝日に花の陰影が美しかった。
百合の香りが部屋中を満たす。
絵を描いてみたくなった。
白い厚紙はあったのだけど、
それでは花の白が表せない。
黄土色のボール紙がみつかり
それに描くことにした。
鉛筆で下書きし、
それに絵の具を載せていく。
色を何度も重ねるけれど
みな吸い込んでしまう。
白の光と影は難しい。
透明感も欲しいし、
強いホワイトも欲しいし、
グレーも濃淡がある。
それでも何とか描けた。
右下隅に落款を押す。
下手だけど仕方ない。
見栄えがするよう額に入れる。
壁に絵を掛けると
百合が生き生きしている。
香りが漂ってくる気がする。
絵にして良かったと思う。
今日も何かを残せた。
生きている証として。