八日市の親戚たち

滋賀県東近江市に八日市という街がある。
祖父の二人の妹が嫁いで住んでいた。
母がその叔母たちと仲が良かったので、
夏休みは泊まりがけで行ったものだ。

テル叔母さんの家は植木屋さんだった。
長男の喜一さんが家督を継いでいる。
米寿になるというのに車を乗り回し、
脚立に昇って植木を剪定しているという。

喜一さんの奥さんは美人の恵美子さん。
民生委員を長く務め、今では老人のための
寄り合い所を作ろうと喫茶店をやっている。
オバチャンのファンが毎日集まってくる。

半世紀ぶりにボクが伺うと歓待してくれ、
まずは恵美子さんの機関銃のような話っぷり。
喜一さんがお昼に戻ってくるとボクにも
「なんにもあらへんけど食べてって」。

食べ終わり近所のユキ叔母さんの家へ。
いまは次女の晴子姉さんが住んでいる。
彼女は長い間幼稚園の園長先生をしたあと、
いまは毎日1冊の読書三昧を果たしている。

斜め前には長女の寬子姉さんの家がある。
旦那さんが昨年亡くなられたのだが、
お孫さんたちと暮らしてすこぶる元気。
その長男は滋賀大の医学部に通っている。

母の叔母さんたちは亡くなってしまったが、
息子さん夫婦や娘さんたちは元気のかたまり。
息次ぐ暇も無いほど次々と面白い話をして、
半世紀の時間の穴など吹き飛ばしてしまう。
八日市のばあちゃんパワーに元気をもらった。