76歳の栗原小巻が観たい
ふらっと衛星放送を観ていたら
いきなり栗原小巻が出てきた。
うっと息を呑むほど美しい。
森瑤子原作の「晩餐会」という
関西テレビ1988年の作品だった。
栗原小巻は1945年生まれだから
このとき43歳の熟女である。
若い頃に極貧の画家を愛すも
彼の苦悩の末に心中を図り、
生き残って今は実業家の妻だ。
命を拾った画家も今は有名となり、
ある晩餐会で二人は再会する。
そのときの栗原小巻の表情は
並の女優ができるものではない
驚きと哀惜に満ちたものだった。
彫りの深い顔と玄人はだしの演技。
吉永小百合ファンのサユリストとは
一線を画するコマキストの誇り。
こんな些細なテレビ番組でも
栗原小巻の真価は発揮されていた。
栗原小巻の老成した演技が観たい。
表舞台から遠ざかっているが、
どうかコマキストを唸らせて欲しい。
今年76歳になった栗原小巻の
今こそ真骨頂を見せるべきである。