大人になれない大人
ダサくて気弱で
虐められている少年マーカス。
学校には友だちはいない。
唯一、友だちと呼べるのは
お洒落で女好きのつまらない
30代の男、ウィル。
マーカスの母、フィオナは離婚し、
付き合う男とは上手く行かず、
鬱状態で自殺未遂を起こす。
動揺するマーカスに、
できた友だちは勇敢で無謀な
上級生のエリー。
エリーは世の中を屑にしたい、
そのために生きている。
いつもニルヴァーナのリーダー、
カーク・コベインのスウェットを着ている。
親に反抗し、学校に反抗し、
でも、信じることを全うする。
カーク・コベインが自殺し、
レコードショップに飾ってある
コベインのポスターを商業主義と罵倒、
ショップのガラスをぶち破り、
孤独なコベインを救ってみせる。
愛情に飢えながら愛情深い女の子。
母の自殺未遂や友だちの犯罪、
こうしたことと向き合ううちに、
大人に脱皮していくマーカス。
でもこうした事件から、
いちばん成長したのは
大の大人のウィルである。
ニック・ホーンビィの小説、
『アバウト・ア・ボーイ』。
そのボーイとはマーカスよりも、
からっぽだったウィルだった。
ああ、ボクもウィルみたいだ。
大人になれない大人。