「極夜」

今頃、フィンランドの北部は
一日中夜だったりするのだろう。
それは「極夜*」と呼ばれる。
太陽が決して昇らない一日、
「白夜」の真逆の夜だけの世界。

フィンランドだけでなく、
スウェーデンでもノルウェーでも
冬至の頃は「極夜」になる。
一日中、暗闇の世界にいたら、
人はどうなってしまうのだろう。

暗黒の夜でも都会の家並みは
イリュミネーションで常に美しく、
クリスマスはロマンチックだろう。
恋人たちの愛の語らいは止まらず、
星空を見上げ続けることができる。

田舎の草原や森の中にいても
流れ星が一日中、夜空を飛んでいて、
オーロラの輝きに魅せられる。
夜だけの漆黒の世界だからこそ、
無限の美しさがあるのだ。

フィンランドで「白夜」を
体験したことがある。
不眠症に陥る人が多いというが、
ならば「極夜」は眠ったまま、
ずっと過ごすことになるのだろうか。
一度、「極夜」の世界で暮らしてみたい。


*「極夜」は「きょくや」と読みます。地球の自転軸が太陽に対して23.5度傾いているため、北極圏では「極夜」が発生します。フィンランド語では「カアモス(kaamos)」と呼ばれます。南極の冬も「極夜」になります。