ウェストンのキャベツ
「キャベッジリーフ」
そう題された白黒写真を見て
殴られたような衝撃を受けた。
背骨が竜骨のように曲がり、
肋骨が四方に張り出て、
しかも何かを包み込むように
ゆったりと覆い隠している。
それがただのキャベツの葉。
一枚の葉のクローズアップだ。
撮影したカメラマンは
エドワード・ウェストン。
100年近く前の写真だが、
まったく色褪せていない。
絵画と完全に一線を画す写真。
ストレートフォトと呼ばれる
シュルレアリスムの純粋写真。
この写真に込められた思いは
ウェストンの生命力の秘密だ。
キャベツの葉だけでなく、
ペッパーなるピーマン、
タマネギやマッシュルームなど
いろいろな野菜の写真がある。
どれもこれも無機質ながら、
生物のような生命力に溢れている。
カメラは木製のエイトバイテン。
大型カメラで詳細を克明に撮影、
本質を浮き彫りにしている。
これらウェストンの野菜を見て、
写真を撮りたい衝動に駆られた。
正方形の画額が好きな私は、
ハッセルブラッドで撮りたいが、
今でも購入できるのだろうか、
フィルムを現像してもらえるのか。
そこいらにある普通のものを
モノクロ写真で芸術作品にする。
この夢は果たされるのだろうか。