ショーケンを偲ぶ
秋になって人恋しいのか、
なぜかショーケンのことを思った。
萩原健一、いい俳優だったなと。
寂しそうでやるせなさそうで、
震える心を持った俳優。
あんな魅力的な人はいなかった。
今になって彼の映画が観たくなる。
岸惠子に恋するショーケン、
映画「約束」はよかったなあ。
余命幾ばくかの高橋恵子の元に
妻子を遺して走ったショーケン、
「恋文」も自然だなと思えた。
「居酒屋ゆうれい」のコミカルな
ショーケンも彼ならではだった。
テレビだって楽しませてくれた。
「傷だらけの天使」のショーケンも
憂いを帯びたやさぐれが堪らなかった。
水谷豊だけでなく「アニキ」だった。
「前略おふくろ様」の滑稽な若い板前、
「祭りばやしが聞こえる」の次郎も
ショーケンの魅力が溢れていた。
ショーケンが死んで3年が経ったけど、
今でも映画やドラマの中で死んだよう。
私生活でも映画でもドラマでも、
いつもショーケンはショーケンだった。
最後の最後までセクシーでやるせなく
どこまでも美女にもてる男だった。
クルマの中で「傷だらけの天使」をかけ、
しみじみしてしまう秋なのだった。