長谷川きよしと中原中也
♬月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちてゐた。♬
中原中也の「月夜の浜辺」に
長谷川きよしが曲を付けた。
タンゴ調のリズムにのって、
月夜の浜辺が浮かんでくる。
♬それを拾って、役立てようと
ボクが思ったわけではないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。♬
長谷川きよしの圧倒的な歌声、
北村聡の哀愁のバンドネオン、
林正樹が編曲しピアノを奏でる。
月夜の浜辺がドラマになる。
♬月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に染み、心に染みた♬
月夜の浜辺を歩く中原中也。
月明かりに光るボタンを見つけ、
孤独なボタンに愛情が湧き、
捨てられずに着物の袂に入れる。
♬月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか♬