八木重吉の「かなかな」
香ばしい匂いとともに
素晴らしいパンを焼く
クローチェのマダムは
クラシック音楽と
文学好きな知的な人。
彼女から八木重吉の
詩がメールされてきた。
八木は明治、大正時代を
慎ましく汚れなく生き、
29歳で夭逝した詩人。
彼女の住む那須の森では
今、ヒグラシが鳴いている。
「カナカナ」と鳴く蝉だ。
彼女が送ってきた詩は
八木の「かなかな」だった。
かなかなが 鳴く
こころは、
むらがりおこり
やがて すべられて
ひたすらに 幼く 澄む
静かに穏やかに柔らかく
幼き子のように
澄んだ心で生きていきたい。
八木重吉さんの詩は
どれもこれも胸を打つ。