アナイス・ニン

あどけない少女が
妖艶な笑みを湛え
下着姿で腰掛け
細長い足を露わに
カメラマンの前で
ポーズをとっている

ピアニストの父は
愛人の下に走った
アナイス・ニンは
母と自分と弟との
暮らしを助けるために
少女モデルになった

父を失った寂しさから
日記を書くようになった
夢を語り幻想を垣間見
拠り所のない心で
精神の袋小路を彷徨った
日記は生涯書き綴られた

芸術家や文士と交流
世に出るための世話を焼く
彼らとの愛情や友情は
肉体関係にも及び
日記に事細かに書かれる
日記そのものが文学だった

自由奔放に生きながら
母性豊かに多くの男を
優しく慰め抱擁し愛し
良き母になろうとした
純粋で献身的なニンの
輝きと魅力はその心にある

この世に生を受けて
来年で120年となる
未だに世界中にニンの
日記と小説の愛読者が
彼女を信奉している
老齢になっても瑞々しく
妖艶と美しかったニン
今という時代だからこそ
その生き方に惚れるのだ