リーチと優勝と胴上げ

「リーーーチ!」
リーチ・マイケルがボールを持つと、
国立競技場から大声援が飛ぶ。
ラグビーリーグワンのプレーオフ決勝、
リーグ戦1位の埼玉ワイルドナイツは
2位の東芝ブレイブルーパス東京と対戦。
どちらが勝ってもおかしくない強豪同士。
リーチが主将の東芝が雪辱するか、
今季で引退の堀江翔太が埼玉を牽引するか?

40年近くも付き合いのある元長官から
一緒に見に行きませんかと誘いを受け、
冷えたビールを抱えて競技場で観戦。
序盤から激しくぶつかり合う展開、
逆転に次ぐ逆転で勝負の行方がわからない。
ノーサイド寸前に埼玉が逆転勝ちのトライ、
そう思ったら堀江のパスがスローフォワード。
だったらもっと速く審判は笛を吹け。
東芝が逃げ切って優勝を成し遂げた。

勝ったリーチは呆然とした表情のまま、
堀江や埼玉選手を思いやっているのか。
胴上げが行われて主将のリーチは
直立不動のまま3回宙を舞った。
189cm、113kgのリーチにとって
初体験の胴上げだったのだろうか。
落とされるのが怖くてコチンコチンの
銅像のように固まったままだった、
激しい当たりやタックルは怖くなくても
胴上げが怖いなんて?可愛いヤツである。