前野曜子の歌声
新宿歌舞伎町の
馴染みのバー「下宿屋」で
高橋真梨子の話になった。
ペドロ&カプリシャスで
素晴らしい歌声を聴かせ、
今や堂々のソロ歌手だ。
バーのママが言う。
「でもね、その前に
ペドロ&カプリシャスにいた
前野曜子もいいのよ」
宝塚音楽学校で声楽を学び、
ペドロ&カプリシャスに入る。
「別れの朝」が大ヒット、
病に伏した後に復活、
「蘇える金狼」の主題歌で
鮮烈まカムバックを果たす。
しかしアルコール依存症で
40歳の若さで死去した。
バー「下宿屋」に
前野曜子が歌う
「別れの朝」*が流れる。
やさしくやわらかく、
強く激しく哀しい歌声。
どんな形容詞も無為になる。
情感溢れる前野曜子の歌。
知らずに涙線が緩む。
音楽そのものは昭和歌謡、
でもその古さが斬新だ。
いつまでも人の心を打つ、
歌は永遠の輝きを放つ。
*前野曜子の「別れの朝」https://www.youtube.com/watch?v=v2x6yRRfq7g