麻雀好きだった母
母は麻雀が好きだった。
同じ牌を3個ずつ集める
四暗刻(スーアンコウ)が
役満の得意手だった。
残りの牌がたった1つでも
それをひたすら待って、
ラス牌で積もったりした。
みんなあっけにとられた。
母は確率無視の感覚重視、
長嶋野球のようなものだった。
閃きで麻雀をやっていた。
滅多に負けず驚くほど強かった。
とにかくツモが半端じゃない。
気合いもろとも欲しい牌を
グイッと引き寄せてくるのだ。
だから四暗刻になってしまう。
母は父と一緒じゃなきゃ
好きな麻雀もやらなかったけど、
僕ともっとやりたかったに違いない。
でも僕はあまり好きじゃなかった。
もっともっとやってあげれば
良かったなと今になって思う。
もっともっともっとやって
母の自慢げな笑顔が見たいよ。
でももう母はこの世にいない。