メランコリア
ポール・ヴェルレーヌの詩集、
『サテュルニアン』の中に
「メランコリア」、憂鬱が
主題となる詩が8編ある。
古代ギリシャでは黒い胆汁、
中世では冷たく乾いた血液。
いずれも憂鬱を生み出し、
忌まわしいものでありながら
知的で創造的な人間だと言われる。
「メランコリア」は黒い太陽、
土星や彗星としても表され、
人間に憂鬱をもたらすとされる。
デンマークの奇才の映画監督、
ラース・フォン・トリアは
これらをモチーフにして、
「メランコリア」を創作した。
地球に巨大彗星が接近し、
人々が憂鬱になる様を描いた。
フランス詩の先生はこの映画を
とても面白いと言ったが、
僕には変な映画という感想しかない。
中世の絵画を見るような映像で
様々なシーンがいろいろな暗示を
もたらす仕掛けとなっている。
確かにそれらは面白いとも言えるが、
哲学はあっても娯楽性に欠けている。
不条理を描いた作品なのだろう。
「メランコリア」の憂鬱思想が、
欧州の人々の長い暮らしの歴史を
彩ってきたのかも知れないが、
僕は憂鬱を晴らしたいと思っているし、
晴らしてくれる映画が好きなのだろう。
「メランコリア」から脱して、
毎日を楽しく幸せに暮らしたい。
綺麗な赤い血で生きていきたいし、
真っ赤な太陽の下で暮らしたいのだ。