「GHマム コルドンルージュ」

クリスマスイブにシャンパン、
「GHマム コルドンルージュ」を開けた。
映画「カサブランカ」の中で、
男臭いハンフリー・ボガードが
麗しのイングリッド・バーグマンに
「Here’s looking at you,kid」
「君の瞳に乾杯!」と言って
グラスを合わせて飲む有名なシーンに
このシャンパンが用いられたのである。

ボトルに斜めに入った赤い襷は
いまや窪みをつけて塗られているが、
指にすっぽりとはまって注ぎやすい。
赤い襷はフランス最高の勲章、
レジョン・ドヌールの襷を彷彿させる。
まさにこのボトルは正装した要人、
フランスに勇気を与えるシャンパンだ。
「カサブランカ」が作られた翌年に
フランスはドイツに征服されるのだ。

映画ではボガードがリクエストした
「時の過ぎゆくままに」が流れ、
ここでも「GHマム」が飲まれていた。
ボガードの部屋で再びグラスを合わせ、
「ドイツ軍が来る前に飲み明かそう」と
二人は互いの瞳を見つめ合うのだ。
バーグマンの濡れた美しい瞳が涙を誘う。
男なら誰でもイチコロになってしまう
世紀の美女の瞳に乾杯なのである。

この「GHマム コルドンルージュ」は
ピノノワール、シャルドネ、ピノムニエで
醸し出された特級シャンパンである。
柑橘系のアロマに白桃、杏、林檎などの
芳醇さを併せ持つフルーティな香り、
微かな苦みが絶妙の大人の味わいとなる。
ふくよかさの中に力強さのあるシャンパン、
バーグマンを想起させること間違いない。

さて我が家のクリスマスイブナイトは
この「GHマム」によってどうなったか。
部屋を暗くして蜜蝋に火を灯し、
ザ・シンガーズ・アンリミテッドの
クリスマスソングをかけて雰囲気を出す。
シャンパングラスに「GHマム」を注げば
細かい泡が綺麗に立ち上ってくる。
妻の瞳を見つめ「君の瞳に乾杯!」と言って
グラスを合わせるつもりだったのだが‥‥。