「月食の夜は」

地球が月を食べる。
月食はわけもなく
ロマンチックだ。

満月が大きく見える
スーパームーンの
皆既月食の夜がくる。

天文好きの中学男子が
好きなクラスの女子を
一緒に見ようと誘う。

彼女は気の狂った母を
介護するケアラー。
そんな余裕はなかった。

でも彼は何度も誘う。
彼女が好きだから。
次は12年後だから。

熱意が実って
一緒に見るけれど
皆既の瞬間に曇る。

何という不運。
でもそれがおかしい。
笑っちゃうよね。

創作テレビドラマ大賞、
「月食の夜は」は
優しさが詰まった作品。

彼女が彼の手を握る。
月食は見られなかったけど、
満月のような彼がそこにいる。

温かい心を持ったお月様。
厳しい日々を送る彼女の
希望の光に彼はなったのだ。