『きぼう』に希望を乗せて
夕暮れからさらに暗くなった頃、
西の空に宇宙ステーション、
『きぼう』が見えてくると妻が言う。
ふたりで裏の通りに出て
西の彼方をじいーっと見上げる。
三日月と木星や土星も見える。
「大きさはどれくらい?」
「わからないけど結構明るいって」
「どれくらい見えてるの?」
「5分しか見えないって」
「あっ、あれかな?」
「うーん、でも、あれみたい!」
妻が目を輝かす。
「飛行機じゃない?」
「違うよ、点滅してないもん」
「確かにそうだけど」
「ほら、こっちに向かってくる」
「あれ、どんどん近づいてくる」
「スピードが増してるよ」
「そう見えるって言ってた」
「じゃあ、『きぼう』なんだ」
「うん、絶対に『きぼう』だよ」
「もう、真上に見える」
「野口さんが乗ってるんだ」
『きぼう』は地上300kmを回る。
クルードラゴンが打ち上げられ
宇宙で『きぼう』にドッキング、
野口聡一さんたち4人が乗り込み
チームが7人になって仕事する。
野口さんは半年間も滞在するのだ。
「あーあ、行っちゃった」
「でも、見られて良かった」
「『きぼう』だったね」
「うん、『きぼう』だった」
「ぼくらの希望の星だね」
「うん、人類の希望の星」