川の氾濫

小学生の頃、台風が来ると
石神井川周辺の子供たちは
早めに帰宅させられた。
氾濫する怖れがあったからだ。

実際に川の水が溢れて、
川沿いの家は床下浸水になり、
ひどいときは床上浸水になった。
それほどすぐに氾濫した。

川が蛇行していて、
曲がった所から水が溢れる。
改修工事が長い期間行われ、
今では川の氾濫はなくなった。

穏やかな日、久しぶりに
石神井川の川沿いを歩いた。
川は穏やかな流れで水は綺麗、
水底が見えるほどだった。

鴨が何羽も川の中の
岩の上に佇んでいた。
長い藻が水中に漂い、
川面は陽の光に輝いていた。

先生の姿と声が聞こえた。
「川に近い子供は
すぐに家に戻りましょう」
遠い過去の思い出が蘇った。