美しいハードラー
雨がそぼ降る日本選手権。
女子100m障害決勝レースは
日本一美しいハードラー、
田中佑美が優勝を狙っていた。
立命館大学時代は敵なし強さ、
富士通に入っての社会人となっても
12秒台の記録を立て続けに出し、
準決勝では自己ベストの12秒85。
優勝すればパリ出場が現実味を帯びる。
立ちはだかるは3歳歳上の服部真子。
準決勝では12秒75で標準記録を突破。
ママさんハードラーの寺田明日香もいる。
田中佑美はスタブロに脚をかける。
端整な顔立ちと172cmの抜群のスタイル。
スタートとともに好ダッシュ、
長い脚でハードルをクリアしていく。
序盤はトップ、だが服部が追いかける。
ゴール前、半身、服部が速かった。
服部12秒86で優勝、田中は12秒89で2位。
服部がパリ五輪切符を手に入れた。
前日の記録なら優勝だったが、悲しい雨。
「パリに行きたい闘いだった。悔しい」
田中の涙が頬を伝わって落ちた。
ファッション誌でモデルにもなった逸材。
それでも陸上が、ハードルが彼女を離さない。
パリ五輪出場は世界ランク次第で可能性もある。
「パリに行けても行けなくても競技人生は続く。
もっともっと速く走れるように頑張ります」
力を付けてきただけににパリ五輪に出場させたい。