「元気があれば何でもできる」
「人生最大に叩きそうだよ」
秋元正臣さんは今年で満90歳になるが、
ゴルフコースを走り回ってプレーする。
すこぶる元気なスーパー爺ちゃんだ。
昔からせっかちだから早打ちスイングで
ボールに上手く当たらないことも多い。
「トップばっかりで最悪だよ」
そう言って嘆くから対処法を教えてみた。
「ゆっくり振ろうとしてもできないから
膝までのハーフスイングで打ってみたら」
「それならタイミングが合うかもしれない」
「欲張らずに100ヤード飛べばOKだよ」
プレーが終わって僕の家にやってきた。
「あはは、後半は10打も良くなったよ。
小さなスイングでも当たれば飛ぶんだ。
練習してこのスイングをマスターするよ」
90歳と言えばゴルフができるだけでも凄い。
生きているだけでも大したものである。
それなのにまだまだ上手くなろうとしている。
僕の目の前で素振りを繰り返してみせる。
大きな声でさんざん喋りまくって
「そろそろ東京に帰らないといかん」
秋元さんはそそくさと僕の家を出る。
「4時間もあれば家につけるさ」
奥さんが亡くなって10年が経った今、
老人会で知り合った美人の彼女がいる。
スポーツタイプの4WDをかっ飛ばし、
高速を使わずに下道で帰って行った。
「元気があれば何でもできる」と言った
アントニオ猪木よりも元気な秋元さんだ。