石榴と人肉
石榴と書いてザクロと読む。
そう、果物の石榴である。
子供の頃、近所の庭に実った
石榴を食べたことがあった。
大きな実がぱっくりと割れ
赤いつぶつぶの果肉が
はみ出すように見えていた。
何だか不気味だった。
赤い小さな果肉を食べると
とても酸っぱかった。
小さな果肉は透明な赤で
ほとんどが種だった。
石榴の果肉の味は人肉に
似ているという逸話があるが、
それはお釈迦様の伝説から
生まれたものだという。
お釈迦様が子供を喰らう鬼神、
可梨帝母*に石榴を与えて
人肉を食べないように
約束させたのだそうだ。
可梨帝母は鬼子母神となり、
子育ての神様になったのだが、
この話が転化してしまったのである。
*「かりていも」と読むが、これはサンスクリット語のハーリーティーを音写したもの。尚、「可梨帝母」がお釈迦様から石榴を与えられて人肉を食べないようになった話は日本で作られた俗説と言われている。