羽生結弦と9歳の自分

果敢に挑んだ
史上初の4回転アクセル。
跳べたかに見えたが、
惜しくも転倒。

着氷した右足は
前日練習での捻挫が
思った以上にひどかった。
普通なら棄権だった。

痛み止めの注射を打ち、
神経が麻痺して
痛みはなくなったが、
脚の感覚も失った。

決死の覚悟で挑んだフリー。
アドレナリンが爆発、
自分では理想とする
最高のアクセルが出来た。

跳んだときに
9歳の自分が手をとり、
引っ張り上げてくれた。
そんな気がしたという。

3連覇を狙った冬季五輪。
金メダルは獲れなかったが、
4回転アクセルは公認された。
転倒はしたけどやれたのだ。

9歳の自分が登場し、
史上初のジャンプは、
成し遂げられた。
羽生結弦のスケートの歴史が
もたらした快挙だった。
きっと9歳の自分が27歳の自分を
褒め讃えているに違いない。