透き通るような鎖骨
「晴子の鎖骨は透き通るようだ」
高村薫は『晴子情歌』の中で
主人公、晴子の鎖骨を描写している。
息子の彰之は子供の頃、母・晴子の
鎖骨に抱きつくのが好きだった。
そうしてふと女性の鎖骨を思うと
鎖骨の下の乳房よりも遙かに性的で
神秘的で高貴なものに感じられる。
それも透き通っていれば尚さらだ。
人間の骨を露骨に意識するからだろうか。
アラン・レネ監督の映画、
「去年マリエンバードで」の
デルフィーヌ・セイリグは
自分の綺麗な鎖骨を触りながら
アンニュイに耽っていた。
マリー・アントワネットを演じた
キルスティン・ダンストの鎖骨は
それこそ透き通るほど美しかった。
男なら思わず接吻したくなるほど。
ルイ14世は盲目だったに違いない。
この夏はきっと鎖骨の綺麗な女性に
ぼくは目を奪われるに違いない。