”音楽”と”現世”をつなぐもの___藤田真央ほか「スーパーソリスト達による秋の特別コンサート」_2022年11月28日
昨夜、サントリーホールで行われた【スーパーソリスト達による秋の特別コンサートVol. 1 室内楽の夕べ】で、藤田真央さんのピアノを聴いてきました!
……と、ファンなので真っ先に名前を上げてしまいましたが、もちろん全ての奏者にそれぞれ魅力とチカラがありました。
メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op. 49」は楽しくて、演奏後の休憩時間中に思わず鼻歌をうたってしまうほど。
とりわけ印象的だったのはブラームス「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op. 25」でした。40分近くある曲なのに、あっという間に終わった気がしたのです。
「ピアノ四重奏曲第1番」は静かな感情として表現されていて、例えるなら楽器の音がそれぞれ透明なパールの粒。
きらめきながら音が舞いこぼれてくる様が見えたり、真央さんがふわりと挙げていた左手からも音が奏でられていたり、同じように高く上げていたはずの手が鍵盤に羽根のように降りると、重厚感のある音が鳴り響いて震えたり。樫本さんのヴァイオリンや弦楽器の歌う演奏につま先から髪まで軽く引っ張られるように感じたりと、様々な体験がありました。
ですが、いつものように情景を眺める聴き方ではなく、あっという間。
まさしく「音が身体に入っていた」という感覚でした。
素晴らしい演奏を体験できたのだと思います。
また、変な表現で恐縮なのですが、真央さんは「ヒト」の形をしているけれど「ヒト」ではなく、「”音楽”と”現世”をつなぐ”何か”」に見えて仕方がありませんでした。真央さんの24歳の誕生日に、この演奏を聞けてよかった。
<奏者>
ヴァイオリン:樫本大進
ヴィオラ:赤坂智子
チェロ:ユリアン・シュテッケル
ピアノ:藤田真央
<演目>
モーツァルト:ピアノ四重奏曲 ト短調 K. 478
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op. 49
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op. 25