J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を北口大輔さんがチェロ1本で演奏_2022年12月22日
うれしい‼︎ 念願が叶って、J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」をチェロ1本で演奏するコンサートに行って来ました!
チェロ独奏版に編曲したのは、北口大輔さん。
日本センチュリー交響楽団首席チェロ奏者であり、パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の客演ソロ首席チェロ奏者。さらに、世界で唯一「ゴルトベルク変奏曲」をチェロ1本で弾くことで知られる方です。
(会場にはチェリストの方もたくさんいらしていました。)
北口さんはずっと「3声(歌のラインが3つあること)を1つの脳の中で完結」させ、「ゴルトベルク変奏曲を一人で弾けるピアニストはいいなと思って」いたそう。3年がかりのチェロ独奏への編曲を終えて2020年に発表して以来、現在も微調整をし続けて毎回ベストの演奏をしているそうです。
「北口さんの頭の中って、どうなっているんだろろう?」
そう思いながら聴いた演奏は、とにかく楽しかったー--!
弦を抑える指の動きはまるでバレエのようで、ネックに指が下りる瞬間の音も演奏の一部だと実感しました。
弦をスタッカートで弾いたり、弾いていないはずの箇所でも和音を耳の中に響かせたり。
「チェロ1本で弾くなんてすごい!」ということはもちろんですが、それよりも「ゴルトベルク変奏曲って、なんて楽しくて、気持よくて、美しい曲なんだろう」という気持が溢れて、聴きながら踊り出したくてたまりませんでした(なんとか、こらえましたー)。
話は戻って、チェロ独奏版に編曲するにあたり、北口さんはJ.S.バッハのすべての曲をとにかく聴いて「J.S.バッハの音を身体に沁み込ませた」そう。同じレベルで語っては申し訳ないと理解しながら、私が拙著「小説で読む 『桜の園』」を書いているときを思い出しました。
当時はプライベートのほぼ全てをチェーホフの本を読んで過ごし(シャンプーなど両手がふさがっているときは除く)、勝手にサントラにしていたハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」を朝から晩まで聴き、世界と想念を身体に沁み込ませていました。
身体に沁み込ませることって、想念を生む前段としてとても重要であると、北口さんのお話を聞きながらしみじみ思ったのです。
「アリアに始まって、30の変奏曲を終えてまたアリアに戻ると、長い旅を終えたような気持ち」
というコメントに、私も大きく頷いてしまいました。
私の人生に音楽があることを、心から感謝します。
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