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東京チェロアンサンブルの演奏会_2022年3月12日
昨年リッカルドムーティ指揮で「東京春祭オーケストラ」を聴いて以来、久しぶりの紀尾井ホール。2階席で聴くのは初めてだったのですが、シャンデリアと奏者を一度に視界に納めることができ、しみじみ美しいホールだと感じました。
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「ソッリマ:チェロよ歌え」は、まさにタイトル通りの演奏で、宮田大さん・髙木慶太さんのソロは、まるで残像とともに羽衣が舞い続け、ときに絡みつくようでした。そのうちに羽衣にコシが加わり、しなる衣に弾かれた瞬間、スパン! と視界が開け、気づけば空高く飛んでいるかのような心地でした。
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2人のソリストを支える音も幾重にも煌めいていて、薄氷の欠片であったり、プリズムで拡散された光の粒のようであったりし、私の頬に心地よく当たるのが分かりました。
個人的なことで恐縮ですが、今日の夕方にボリューミーで難しい原稿の締め切りを抱えており、とくにこの数日間はプレッシャーの中にいたのですが、演奏を聴いていると、心の中のそれらが煌めく欠片であったことを知る、そんな体験でした。
「モーツァルト:レクイエム ニ短調K.626《ラクリモサ絶筆まで》」を聴いたとき、この曲をチェロの演奏で聴けたことに感謝しました。
まるで埋葬の時に、家族や友人を抱きしめて、慈愛とともに相手と自分を支えているように見えたのです。
このあと夕方公演もあるので曲名は書けないのですが、アンコールの曲を含め、あたたかい郷愁で胸が締め付けられるほど感動しました。
そして、ふと、過剰に反応しないよう自らを制していただけで、私もまた、ウクライナ侵攻に深く心を痛めているのだと理解しました。
平穏に感謝し、目の前の人の幸せを願い、安寧を心から、心から願います。
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帰りの電車の中で書き殴っており、乱文失礼いたしました。
長文をお読みくださって、ありがとうございました。
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