辻井伸之の「ハンマークラヴィーア」_2020年10月3日
2020年10月3日、霊格の高い芸術家の奏でる音を聴きました。
「胸を打つ」とか「感動」とか、そんなレベルではありませんでした。辻井伸行さんは天才なのだと、本能でわかったのです。
誰が弾いているのか、今どこにいるのか、そんなことを全て忘れて、ただ音に飲まれて、音を通して生まれるイメージを、憑かれたように見ていました。
彼の弾く「ハンマークラヴィーア」は、あまりにも素晴らしく、客席とステージに時空の大きな違いを感じるものでした。同じ場所にいるようでいて、全く別の世界にいる。しかしながら視認することができる、感動的な違和感--。
元々は、最も好きな曲のひとつである、「クロイツェルソナタ」を目当てに行った演奏会。
もちろん、三浦文彰さんのヴァイオリンも素晴らしい演奏で、とりわけ好きな第一楽章を奏でた瞬間に、猛烈にワクワクしました。
今日の演奏を聴いたのが、個人的に最高のタイミングであったこともあり、少なからず、私の人生が変わったと思います。
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出演
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:江口玲
ピアノ:辻井伸行
曲目
ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op.47 「クロイツェル」
ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィーア」
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