読むということ
1 はじめに
音読についてです。声に出して文章を読むことの効能は多くの人が述べていますが,実際にどのように使い分けがされているかは現場ではあまり意識されていない印象です。
そもそも,音読は何のために行うのでしょうか。音読はしなくても良いという立場の先生はどちらかと言えば少数派ではないかと思うのですが,その根本について考えるのも良い機会ですね。そこを詰めてからどのような指導が良いのかということが後からついてくるのだと思います。そして,意図や状況によっていろいろなパターンを使い分けていけると良いですね。どのように使い分けたり,何に注意を向けたりしたら良いか考えてみましょう。
2 音読のパターン
音読にもいろいろなやり方があります。それぞれ良い点と注意点があるので,特性を理解した上で状況によって使い分けると学習効果も上がるでしょう。
①群読
集団で音読をさせますが,群読と一口に言ってもさまざまな集団があります。隣の人とペアで読んだり,班で読んだり,列ごとに読んだりとバリエーションはさまざまですが,良い点として集団を区切っているため声に出して読む義務感が生まれます。クラス全体だと人任せにするような子どもも,少人数グループだと頑張らざるを得ない状況になりやすいです。
注意点としては,当然のことながらグループによる時間差がでることと,読みの間違いを把握しにくい点です。
②リレー読み
段落ごとにリレー形式で読むのが一般的でしょうか。これは,全体でやるのか班ごと等で区切ってやるのかなどにもよって違いますが,全体でやる場合のメリットとしては,読みの間違いに気付ける点です。漢字等ももちろんですが,微妙なイントネーションや発音、区切る場所で読みの間違いに気付けます。しかし,クラスの雰囲気や個別の配慮をしてやらないと集団になじめていないことや,全体の前で話すことに極端な不安感を持っているこどももいます。集団にどれぐらい適応できているのか,集団の雰囲気を普段から担任として,あるいは学年団で共有しておく必要があります。
③個人で音読
個人で音読するするパターンでは,全員が全ての文章を読むことになります。全ての文章を声に出して読めることのメリットは大きいですが,ほとんど読みの間違いに気付いてやることは出来ません。音読を聞くと,どこまで読めているのかが見えてきますが,それが目に見えません。修正のために取り上げてやることも出来ません。
④黙読
黙読はあまり行われていることを見かけませんが,黙読も一つの学習活動です。(音頭というくくりに入れるのは不適切ですが)これは,圧倒的に読むスピードが上がります。読書もそうですが,情報をインプットするという点においては黙読が一番早いです。声に出せるスピードで読んでいては遅いからです。しかし,指導者としては黙読では子どもが本当に読んでいるのか見えてこないので,「読み終わったら座る」などの指示を出すという工夫がいるでしょう。読みの間違いに気付けないというのも不安なところなので注意が必要です。必ず授業の後半で取り入れるなどの配慮がいります。
⑤向きを変えて音読
これは,暗記などに向いています。例えば
「枕草子の春~を黒板の方向を向いて暗唱します」
↓
「春~が暗唱できたら夏,秋を窓側(廊下側)を向いて暗唱しましょう。」
↓
・・・・・・
などのように動きを付けると効果的です。子どもが新鮮さを感じるのもそうですが,指導者が学習者の進捗を確認しやすいです。暗記物や段階を踏むものにはうってつけです。
3 おわりに
音読ってなんとなくやらせがちでこどももマンネリ化しながらやっています。動きを付けたり状況に応じてバリーエションを使い分けていきましょう。