#4.「愛聴名盤」〜あなたの名盤聴かせてください〜【サザンオールスターズ/Young Love】編
レコード、カセットテープ、CDなど時代によって音楽を届ける媒体は変わって来ました。現在は配信世代真っ只中といった時代でしょうか。
とりわけ最近では滅相アルバムで通しでツルッと聴くという文化は減ってきましたねぇ。
そんな現在だからこそ、この企画をやりたいと思います!題して
〜「愛聴名盤」あなたの名盤
聴かせてください〜
#4 サザンオールスターズ
「Young Love」 1996年7月20日Release
アルバムを聴く前に‥ちょこっと自己分析!
昨年デビュー45周年を迎えた音楽芸能集団サザンオールスターズ最大のアルバムセールスを獲得した名盤は
全ての五感を味わえるバラエティに富んだミリオンセラー!アルバムジャケットにも注目が必要。
ジャケットのデザインは昨年、惜しくもこの世を去った信藤三雄さんによるもの。メンバー各々が名盤のパロディ要素を含み登場する。様々な元ネタに貴方は気づけるかな!?
M01.「胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ」
作詞 桑田佳祐 英語詩 "Tommy" Snyder
作曲 桑田佳祐 編曲 サザンオールスターズ
英語なんていうものは義務教育じゃなくて桑田さんに教えて貰ったと思ってて、それに聞こえるっていう風に捉えると英語って凄い発音しやすくなる発見がある。日本語ロック論争なんてよく言ったものだが、
桑田さんの手にかかれば日本語も英語も関係なくロックできるんだと思える。(個人的には日本語ロック論争についてはどっち派という訳でもなく中立の立場です)
アルバムのオープニングはGt大森隆志氏によるリフからスタートする。サウンド面においてもサビの入り口にクラクション?
あんなヘンテコな音を採用するなんて笑
でもそれが遊び心抜群でギャップにやられてしまう。
M02.「ドラマで始まる恋なのに」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
野球で例えるなら9分割された的があって
真ん中が1番大衆に向けたものであればど真ん中にも放れる、そして際どい所にも投げれる。
意図的に狙って投げれる、それがサザン、桑田佳祐のすごみ。何を望んでいるかを受け取るセンサーは常に世の流れを見ていないとできない事だ。まぁファンはサザンの9分割どこでも好きなゾーンだし、外れてても結局ボール球なんかないんですけどね?
にしても桑田さんは「慕情」という言葉が好きですよね??曲のタイトルにもなってますし、歌詞に出て来る率高くないですか?
M03.「愛の言霊 〜Spiritual Message〜」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ/山本拓夫
一体どこから選び抜かれたワードたちなのかと思うが
ほんとにデモ段階で発音してる言葉に1番近くてニュアンスが似てる言葉を選んでいる気がする。それでいて取っ散らないでテーマが一貫されているのが実に美しい。適当に聴き流すのもいいし歌詞カードと相対して真面目に受け取るのもいいとする。色んな楽しみ方ができる奥の深い作品だ。ジャンルは何に当たるのかと思うがラストサビで転調を見せた時これも1つポップなのかなぁと思う。サザンのキーAmにハズレなしっ!
M04.「Young Love」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
ここに来て急にBeatlesを思わせる王道を走る。
サザンは割と元ネタが分かりやすくて親しみやすい。
ルーツを辿れば音楽の幅が広がり、成長させてくれるのだ。懐かしのサウンド要素にはクラップがあったり
ハーモニカがあったり、ウーなんていうハモリがある。完全に新しいものに傾くのではなく、古き良きを残しつつな所が新規も古参も取り込むバンドである所以だ。2番に入ると手数も増えパーカッションが顔を出す。サザンの幅を広げてるのは完全にこの毛ガニさんのパーカッションなんだよね。
M05.「Moon Light Lover」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
色んな表現技法を使ってムードを漂わせ、
「こんな経験あったなぁ」と楽曲がリンクして
その時見た景色や一緒に居た誰かをも思い出させる。
口ずさみたくなるほど癖になるギターや、美しいハープ、ファルセット。その全てが叙情的に感じ取れる。
サウンドは電子音で“最新”なのに“昔”が見えてくるから不思議でしょうがない。昭和、平成、令和と3世代サザンが渡り歩いた証拠がこの楽曲に詰まっている。
M06.「汚れた台所」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
軽快なリフに桑田さんの早歌回しで進むエッジの効いた社会を歌う曲にはディラン要素が散りばめられている。あのBeatlesにラブソング以外を教えたボブディランはこうして日本のスターにも幅を与えたのだ。
90年代初頭こういった皮肉的で風刺の効いた楽曲たちはソロだとフォーキーな姿で、サザンではバンドとしての形式で披露されている。
(90年代後期にかけては電子音やテクノといったジャンルで披露される)テーマは同じジャンルでありながらもサウンド面で色んなバリエーションで手を変え品を変え模索しているのだ。
M07.「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ&山本拓夫
90年代に入っても、サザンはブレず「海」「砂浜」をテーマに歌を届けますが夏という1つの季節でこれだけ色んな角度から歌えるのはやはり桑田さんの引き出し、ストックの多さが垣間見えますね。楽しくて弾ける夏!だけではなく本楽曲の様に切なくて滲む夏!もサザンの手に掛かればキラキラして良い思い出になる。直接的なワードだけではなく綺麗な日本語を使って情景、風景が描ける桑田佳祐の魅力が最大に詰まった名曲。エレピのグリッサンド最高!
M08.「恋の歌を唄いましょう」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ&中西俊博
本作品で唯一原由子がボーカルを務める本楽曲は代名詞ダブルトラックで歌われている。人柄ってこんなにも歌声に現れるのかと思うほど、優しくて穏やかな気持ちになれる声質の持ち主。
作詞作曲は桑田さんですが原さんの良さを全面に引き出したテイストはバンドメンバー、いや夫婦の絆を超えたものが見えて来る。もはや文字に起こす必要がないくらいの阿吽の呼吸だ。
M09.「マリワナ伯爵」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
際どいテーマ(いやガッツリか?)をもとに行き着くバンドがRolling Stonesなのが面白い。
自分達の職場がある意味こういった形で汚されていた過去・現在を背ける事なく歌う事に意味があると思える。誰もが通る道のBeatlesですらなのだが、悪い事まで真似しなきゃいけない訳ではないのだ。全てを肯定するのではなく、きっちり「NO」を言える事は色んな面で必要になる事を思い出させてくれる。
時代だったという一言で片付けるのではなく、流されては行けない。
M10.「愛無き愛児まなご 〜Before The Storm〜」作詞作曲 桑田佳祐 英語詩 "Tommy" Snyder
編曲 サザンオールスターズ
ちょっとずつちょっとずつ色んな所からインスパイアを受けている事がとれる。歌詞に登場する“ママ”というワードを見てとるにQueenの「Bohemian Rhapsody」がモチーフになってたりするのかな?と感じる。ヒロシさんのドラムに味もあり、リズムがシャッフルになったり、展開を多く見せることで辻褄があったりもする。ハットも小刻みに心地よく、色んな新しい風を吹かせるリズム隊がサザンとしてやりたい方向へと引っ張って行く様子が見れる。
M11.「恋のジャック・ナイフ」
作詞作曲 桑田佳祐
編曲 サザンオールスターズ
サウンド面では90年代のサザンらしいユーロビート的な“洋”が見えるが、その裏で“和”を忘れない叙情的な美しい日本語が並ぶ。ここまでは日本語が英語っぽくビート、リズムに乗って僕らに届いてきたのだがここに来て真っ直ぐな“頑張るのだ”などと言ったド真ん中にストレートが届く。アルバム1枚の中で同一の人間が書いて歌っているのにここまで違う顔を見せるかと思える。
M12.「Soul Bomber (21世紀の精神爆破魔)」
作詞作曲 桑田佳祐 英語詩 "Tommy" Snyder
編曲 サザンオールスターズ&山本拓夫
サブタイトルに付けられているのは皆さんご存知
キングクリムゾンの「21世紀の精神異常者」から名付けられている。
聴いていると一瞬日本のバンドであることを忘れるくらい桑田さんの選ぶ日本語の語感が良い。
前曲とは打って変わって日本語と英単語が混ざるスタイルに、まるで歌っている人が違うのではと錯覚してしまう。本当に日本の音楽のターニングポイントが桑田佳祐以前以降である事を物語っている。(個人的には佐野元春以前以降も推してる)
真似して歌いたくなる歌唱法や発声法が日本人の好きなカラオケ文化と相まってウケるのだ。
M13.「太陽は罪な奴」
作詞作曲 桑田佳祐 英語詩 "Tommy" Snyder
編曲 サザンオールスターズ&中西俊博
前曲のビル街の喧騒の音からシームレスに繋がる。
揺れる波、砂浜の音。静から動に変わる瞬間が捉えられていて、それは季節感もそうだし音楽的にもそうだ。無口で寡黙で知られるムクさん(ベース関口和行)のグルーヴ感に踊り、緩急に操られるように開放的になってしまえるいわゆるサザンらしい夏のナンバー。
色んな匂いがあって、それを表現する歌があるが
ここまで色んなことを想像させるフレーズがあるだろうか?きっとそれぞれが今まで出逢った人を思い出せるであろう。もしかしたらこの曲自体が太陽の匂いとセットで思い出になっている方もいれば尚更幸せな世界だ。
M14.「心を込めて花束を」
作詞作曲 桑田佳祐 編曲 宮川泰
サザンファンを公表している芸能人は多くいるが、
その中でもお互いに交友がある爆笑問題のTBSラジオのエンディングテーマにも選ばれているのが本楽曲。
(次回作に収録される「爆笑アイランド」の爆笑はこの2人から取られている)
心地よく綺麗な玄の音と愛で感謝に包まれた桑田さんの歌声。名盤の最後を締めくくるに相応しい名曲だ。
なんでもない日常に感謝の言葉を照れなく真っ直ぐ言える気持ちにさせてくれる。
アルバムを聴いた後にちょこっと自己分析!
80年代後半からタッグを組んだ名プロデューサー小林武史さんの元を離れ原点回帰のような今作がヒットし、次回作が「さくら」になる訳ですがこの辺のウィットに富んだアプローチがサザンが日本国民に支持された確固たる証拠になる訳なのだ。
追記
9年ぶりのニューアルバム!
楽しみに待たせて頂きますっ!
皆さんから皆さんへ名盤の輪をかけて
どしどしレビューして欲しいあなたが選ぶ名盤を
お待ちしておりますっ!
※個人的解釈、個人的意見になります…
間違った意見には情報をください…
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