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人間球体論とは?古代哲学が語る愛の起源
はじめに
「人間球体論」は、古代ギリシャの哲学者プラトンが著書『饗宴』の中で紹介した神話に基づく概念です。
プラトンが語る『人間球体論』は、愛の起源を探る哲学的な神話です。
この記事では、この古代神話と現代社会における意義を掘り下げます。
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この説によれば、太古の人間は現在の人間二人分が一体となった球体の生物であり、以下の三つの性に分類されていました。
男性同士の組み合わせ
女性同士の組み合わせ
男性と女性の組み合わせ(アンドロギュノス)
これらの存在は非常に強力で高慢であったため、神々の王ゼウスは彼らの力を削ぐ目的で、それぞれを二つに分けました。
この結果、分かたれた人間たちは自分の「半身」を求めて生涯を過ごすことになりました。
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この神話は、人間の愛やパートナーシップの起源を説明するものとして語られています。
しかし、この説には現代の多様な性的指向やアイデンティティを十分に包含していないという批判も存在します。
例えば、プラトンの人間球体論では、異性愛者と同性愛者は肯定されますが、両性愛者や全性愛者などの存在が考慮されていないとの指摘があります。
このように、「人間球体論」は愛の起源、古代の人間観や愛の概念を理解する上で興味深いテーマですが、現代の視点から再評価することも重要です💡
でも神話的な愛の概念って何だかロマンチックですよね🥰
1.人間球体論とは?古代ギリシャ哲学が語る愛と欠如
プラトンが『饗宴』で「人間球体論」を紹介した背景には、愛(エロス)を哲学的に解釈するという目的がありました。
この神話は、アリストファネスという喜劇詩人が登場人物として語ったもので、聞き手に笑いや驚きを与えながらも深い真理を伝えます。
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当時のギリシャ社会では、哲学が倫理や人間関係の本質を探る手段として重要視されていました。
プラトンが愛を単なる感情ではなく、人間存在を動かす根源的な力と見なしたことは、彼の「イデア論」にも通じます。
つまり、愛は「欠けたもの」を埋めるための探求であり、真の愛は物理的なものを超越して精神的な完成を目指します。
事例:プラトンの弟子であったアリストテレスは、友情(フィリア)を重要視しましたが、この概念も「人間球体論」と共鳴する部分があります。
愛を「欠如を満たすための手段」として捉える視点は、プラトンが人間の社会的本質である「人間の欠如と補完」を洞察していた証拠と言えます。
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2.現代社会との関連性の具体化
「人間球体論」の「欠けたものを求める」という考え方は、現代の心理学やポップカルチャーに多大な影響を与えています。
「ソウルメイト」や「運命の人」、「ツインレイ」といった概念は、これを現代的に解釈したものと言えます。
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心理学的関連
・カール・ユングの「アニマ・アニムス」の概念では、無意識の中に自分の異性像(または理想像)が存在し、それを外部の他者に投影することで恋愛が生じるとされています。
この理論は、「人間球体論」が描く「半身を求める」という物語に類似しています。
「アニマ・アニムス」についてはこちらが詳しいです⬇️
文化的関連
・映画やドラマのテーマとしても、相互補完の概念が頻繁に登場します。
例えば、『ラ・ラ・ランド』や『タイタニック』は、互いに補い合う関係性の中で成長するストーリーを描いており、読者が「人間球体論」を身近に感じられるような題材です。
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3.批判の具体化
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「人間球体論」は魅力的な神話ですが、現代の視点では以下のような批判があります。
多様性の欠如
・プラトンの時代では、ジェンダーや性的指向の多様性が十分に考慮されていませんでした。
神話が異性愛者や同性愛者を暗に肯定している一方で、両性愛者、無性愛者、トランスジェンダーといった多様なアイデンティティを網羅していないという批判が挙げられます。
独立性の否定
・人間を「欠けた存在」として描くこの神話は、自己完結的な生き方を追求する人々にとっては不適切と感じられる場合があります。
例えば、独身主義や自己愛を重視する現代のライフスタイルと相容れない面があるかもしれません。
4.関連する文学や哲学作品の具体化
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文学への影響
・村上春樹の『ノルウェイの森』では、「欠けた部分を埋めようとする愛」がテーマとなっています。
このように、「人間球体論」は多くの文学作品で人間関係の核心を描くために引用されています。
ポップカルチャーへの影響
・映画『ジェリー・マグワイア』の有名なセリフ「You complete me.(君が僕を完成させる)」は、この神話に影響を受けた一例と考えられます。
・また、ビートルズの楽曲「All You Need Is Love」は、人間球体論が提起する「愛の必要性」を現代的に表現しています。
まとめ:「人間球体論」が問いかけるもの
「人間球体論」は、単なる古代ギリシャの神話ではなく、人間の愛、欠如、そして補完の概念を深く探求する哲学的な物語です。
プラトンが描いたこの神話は、以下のような重要な問いを現代に投げかけています。
愛やパートナーシップとは何か。
人間関係における「欠如」をどう捉えるべきか。
現代の多様な性的指向やライフスタイルに照らして、この神話をどう再解釈できるか。
古代から現代まで、人間は「完全性」を求め続けています。
この神話は、個人が自身の「半身」を求める物語であると同時に、社会全体が調和を求める永遠の探求を象徴しています。
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という事で今回はここまでで終わりです。
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