「国民性」という言葉の罠
「日本人は綺麗好きだよね?」
「アメリカ人は自己中やんな?」
「イタリア人は女ったらし」
って思った事はないですか?
この「〇〇人は・・・」という言葉を使う人ほど、
決めつける傾向があり、物事を大枠で捉えて関係ない人まで巻き込みます。
綺麗好き、不潔
自己中、他人想い
女ったらし、誠実
上記のような人はどこの国にもいます。
日本にだって不潔な人はいるし、
アメリカにだって他人想いはいるし、
イタリアにだって誠実な人はいます。
私は「国民性」という言葉ほど、信用ならない言葉はないと思っています。
この言葉は人の性質や性格を一緒くたにする、
多種多様なものをひとまとめにしてしまう言葉です。
人間は様々な思考を持ち、
異なった行動をとり、
その人独自の生活を歩んでいくはずです。
↓下記の記事を見た時に、この結論を見て違和感を覚えました。
これには最後にこう書かれています。
↓
『かつて日本人の精神性の高さやマナーの良さが各国やメディアに称賛されたこともある。しかし、Go To トラベルは日本人のリアルな今の“本性”を浮き彫りにしてしまった。コロナによって、自粛警察やマスク警察という言葉も生まれたが、その正しさの矛先は他者へ向けられることが多い。いつから日本人はお金や物質面、そして他者に対する“余裕”がなくなってしまったのだろうか。コロナが私たちから奪ったものは、日常ではなく「心の余裕」かもしれない。』
「コロナ」や「日本人としての品格」に関して言いたくなる気持ちもお察しします。今まで起こった事のないこんなストレスのかかる環境では誰かのせいにしたくなるし、全国民を信じたくなるのは仕方ないのかもしれません。
ですが、どうか
「犯人捜し」
や
「国民性の決めつけ」
はどうか控えてほしいのです。
私たちが探求しなければいけないのは「犯人」ではなく、
複雑に絡み合った様々な「原因」だと思います。
上記のホテル客層の問題の原因として考えられるのは、
①メディアの注目する方向性
②所得と人の品格の相関関係
③ホテル料金のハードル低下
①日本には「精神性が弱い人、マナーが悪い人、他者に対する余裕がない人」ははるか昔からもともといたはずです。
それがインバウンドが流行りだしてからメディアで取り上げられるようになり、品が良い物ばかりに注目して報道されていただけではないのでしょうか。報道は極端に良い物、極端に悪い物に注目しがちです。
②お金に余裕が無い人は、
・毎日の食にしかお金を使えないと余暇を楽しむような出費もできない、
・子供の学費を払えず、親として自信を無くしたり、
・食べ放題等でいかに沢山食べれるかだけ重視し、使用後の食器やテーブルを必要以上に汚すとかして
精神性が弱くなったり、マナーが悪くなったり、他者に対する余裕がなくなりがち。
逆に、精神性が弱い、マナーが悪い、他者に対する余裕がない人は、
・仕事を続ける事ができず、キャリアアップが難しくなったり
・スタッフの対応を見て客が遠のき、利益が減り、結果給与も減ったり、
・マーケティング思考ができずに自分本位の企画書しか作れず、結局仕事で評価されないがゆえに給与の昇給は見込めず、
お金に余裕が無くなりがち。
ですから、所得と人の品格には相関関係があると言えます。
もちろん、精神性が弱い、マナーが悪い、他者に対する余裕がない人に該当する人でもお金を稼げている人もいるでしょうが、
低価格の環境には、品格が無い客層が来る確率は上がります。
③今回のGoToキャンペーンは、ホテル業界の金銭的ハードルが下がり、
所得面で本来高級ホテルに行けなかった人が行ける確率が上がってしまう制度。
そして、今までの価値で来てた客は、その環境が嫌になり遠のく。
そのホテルの品格や価値を理解できない客層が増え、
結果そのようなもともといたマナーの悪い、品の無い客が増える。
以上3つにまとめてみましたが、原因は突き詰めればきりがありません。
GoToが原因かというとそれも言い切れない。
その取材したスタッフの価値観。著者の言語表現。
twitterユーザーの共感傾向。その高級ホテルの客層コントロールの対策等
物事の原因は常に一つだと決めつけない方が
偏見や思い込みをせずに済むと思うのです。
そして、コロナに関して言うと
「日本人は清潔で、もともとソーシャルディスタンスが取れているし、
同調圧力があるからルールはしっかり守る国民性。だから大丈夫!」
という一般論。
これも疑わしいです。
日本のマスクの着用率は非常に高いと思います。
https://www.nrc.co.jp/nryg/200428.html
上記の調査でも
「公共の場ではマスクを着用する」と回答した人の割合は、
第1回調査(3月13日~17日実施)と第2回(3月19日~24日)62%
第3回(3月26日~30日実施)67%
第4回(4月2日~6日実施)73%
第5回(4月9日~13日実施)76%
第6回(4月15日~20日実施)81%
前半期の調査ゆえ、現在は体感ですが、
外に出て、JR駅周辺でマスクしていない人を見かけるのは
1日3、4人くらいです。
ですが、それはイベント事をする以外の時間(移動や待ち時間)のみ。
飲食になったり、人と会話する時に声がよく聞こえず、ついマスクを外し
飛沫感染の確立が高くなる状況になったとたん
着用率は異様に低くなってませんか?
ナノサイズのウイルスですよ?
目に見えない物にはなんの感情も抱きませんが、
何も対策をしていなかった方がかかったとたんに
「こんな一瞬でなるとは思わなかった。」
と、かかってみて初めて実感するのでは遅いのです。
菅総理や神奈川県の黒岩知事がおっしゃっていた
「食べる時は何も喋らずに口に入れ、マスクをし直して喋る。」
これを馬鹿にしている人もいたでしょうが、
飛沫リスクを抑えるための理にかなった方法だと私は思います。
「そんなんできるわけないやん。」
って言っている人は
「そんなんめんどくさいし、過剰に反応し過ぎやろ。」
と思っているのかもしれません。
あるいは、「家族間ではマスクをするとなんか菌扱いしてるようで気が引ける・・・。」なんて思う方々もいるのかもしれません。
あるいは、「小さな子供の面倒を見ながらもマスクの取り外しなんて無理。」と思っている方々もいるかもしれません。
家族間ではある程度仕方ない部分もありますが、
もう一度言います。
ナノサイズです。
直径80-220nm(1ナノメートルは10億分の1メートル)程度
髪の毛のおよそ660分の1程度
下手したらマスクの穴も華麗に避けてフィルターを貫きます。少なくとも唾に含まれたウイルスは確防げますが、正直どこにウイルスがいるかなんて分かりっこない。
ウイルスには感情がありません。
喜んだり、怒ったり、悲しんだり、可哀そうと思ったりすることはない。
つまり環境が整えば、ためらう事なく機械のように細胞内で増殖します。
(各個人の免疫力も影響しますが・・・)
国民性を頼りに経済回そうとするのも良いですが、その様な神頼みでそんなやっかいなウイルスは収まるのでしょうか。
私たちはヨーロッパやアメリカでの悲劇を目の当たりにしています。
日本だけはそうならない保証がどこにあるのでしょうか?
第2期を抑える事ができたのは
?本当に国民性のおかげですか?
?気候は関係無かったのですか?
?緊急事態宣言は本当に効果が無かったのですか?
この答えは「まだ分からない」でしょう。
「これからも分からない」のかもしれません。
でももし、まだ大丈夫と対策も何も考えていない方がいらっしゃれば、
特にその方には是非「国民性」という言葉に気持ち良くならないように
一人一人が出来る事を今一度お願いしたいと思います。
『公共の場での飲食中も黙ってマスクを外して口に物を入れ、
喋る時はマスクを必ずする。』
この考え方はしばらく普及していかないと、いくら飲食業界が対策を打ったところでその努力は一瞬で無駄になってしまうのではないでしょうか。
対策はマスクだけではないですが、
公共の場でのマスク着用率のコントロールに違和感を覚える今日この頃です。同調圧力の国民性?してない人はしてないですよ。
私は医療従事者ではないので、
不信に思われる方もいらっしゃるでしょうが、今の増加の加速度とウイルスが活発化する条件が8月より揃っているのを見て気が気でないのです。
第1期、第2期と見てきて、「意外と大丈夫やん?」なんて思って慣れている方はいないですか?検査数が増えているとは言え、大都市圏の陽性率はじわじわ上がっています。指数関数的に増えるので、急激に増加する時は増加します。病床数の埋まり方も大阪はすでに90%とすでに逼迫しております。
↓参考資料2020年11月21日更新後
https://www.stopcovid19.jp/
不安なのです。
これ以上何も変化が無くても、感染が収まり始めたなら
「あー、あいつなんか一人で騒いでたなー。
めんどくさいやつやったなー。」
って言われることでしょう。
むしろそうであってほしいのです。
その時初めて、
私はこの言動に恥ずかしい思いをして、
将来「国民性」という言葉を信じることになると思います。
どうか「国民性」を信じさせて下さい。
一庶民からの願いです。
ここまでの長文をご精読頂き、本当にありがとうございました。
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