親知らず奮闘記
ずっと、親知らずの手術後の痛みと戦っていた。
今回はその奮闘の様子を記したいと思う。
これから親知らずを抜歯する人の一助となれば幸いだ。
【思い立ったあの日】
「親知らずもう抜こう……(´・ω・`)」
そう思ったのは、食事後に親知らず周辺で食べ物が確定で詰まることに、
いい加減耐えられなくなったからだった。
毎回糸ようじを使用しないとならないのがめんどくさすぎる。
詰まりを恐れて旅行も外食もしなくなるレベルだ。
さて、親知らずとは、
永久歯の生え揃った10代後半から20代前半にかけて遅れて生えてくる、意味不明な歯である。
生えない人もいる。生えても抜かないままの人もいる。
現代人だけの問題ではなく、クロマニョン人や弥生人も悩まされていた。
サメでもあるまいし、一体どういう経緯で出来た仕組みなのやら。
自分は上下左右、計4本の親知らずが生えてきた。
3本は素直に生えてきたが1本は横倒し。
素直に生えているものは田舎の歯医者で抜歯できたが、横倒しになっているものは切開が必要ということで、「紹介状を書くから大きな病院で…」という展開に。
なんだか面倒になり、長らく放置していた。
でももう耐えられない。
……抜こう。
【親知らず抜歯手術】
通っていた歯医者で紹介状を書いてもらい、大きな病院へ行く。
その日はまず診察をして、手術の予約をする。
結果、手術は2ヶ月後に決まった。
いや『2ヶ月後』!??!!?!?
コロナの影響で病院はすっからかんではないのか!?
まさかの予約日の遠さに衝撃を受けた。
いち早くこの不快な歯の詰まりから開放されたかったというのに……。
あと書類も色々渡された。
手術を受けるに当たっての注意事項や、当日の持ち物について、
そして「手術2週間前からの毎日の体温測定記載シート」だ。
やはり病院もコロナ対策をしっかりやっているようだ。
というかこれを加味しての2ヶ月後という予約日だったのだろうか?
ありがたいことに、もう体温計も普通に手に入る世の中になったので、さっそくAmazonで購入。体温計にも色々種類があることを知る。
なぜか一番測定時間のかかるやつを買った。
2週間しっかり体温を測り、いよいよ手術の日になる。
ワクチン接種を証明する紙がないと手術は受けられない。
自分は暇だったので新型コロナワクチンの接種は完了している。
ちなみに接種していない人はPCR検査の結果が必要らしい。
気まぐれでワクチン打っといてよかった。
・・・手術が始まる。
手術中に医者から、「痛かったら麻酔追加するので、ちゃんと言ってくださいね。大変なことになるので」と言われる。
「あっ、いま痛いですッ!!」と主張し、麻酔を追加したのは言うまでもない。
そのおかげなのか、その後は痛みを感じることなく手術は完了した。
(凄いな……さすが運命の輪の正位置……!)
そう、タロットにハマっている自分は、事前に手術について占っていたのだ。そこで出たのが【大アルカナ】運命の輪の正位置。
まごうことなき幸運のカードである。
今まで3本の親知らずを既に抜いていたが、それよりも痛みはなかった。
こりゃ大成功じゃないか……!
その後、近くの薬局で薬を受け取り、雨だったので豪勢にタクシーで帰る。
今のタクシーはauPayに対応しているのか……思えばタクシーに乗ったのは何年ぶりやらだ。
家に帰って、しっかりと化膿止めを飲み、術後の注意点を再確認する。
強いうがいは厳禁だとか、血餅が大事とかそういうやつだ。
まあ、この2ヶ月間に知識は色々入れてきている。情報は完璧だ。
ドライソケットとやらには自分は絶対ならないはず!
【消毒と抜糸】
手術後の翌日には消毒がある。
これは紹介状を書いてもらった小さい歯医者で行う。
そのあと1週間後に抜糸をする。
今回は横倒しの親知らずだったので、歯茎を切開して歯を取り出している。
なので大きな穴ができる。それを糸で縫ってあるのだ。
抜糸は思いのほか簡単に終わった。
もう一週間経っているので、血餅もいい感じに出来ていることだろう。
歯医者も「うん、まあ大丈夫でしょ」とのこと。
本当に手術は大成功だったのだろう。
ネットで検索したときにはめちゃくちゃほっぺたが膨れ上がった画像とかがあったりしたが、自分は腫れすら認識できないくらいだった。
痛みもロキソニンを飲むまでもないくらい。
やはり運命の輪の正位置は正しかった……!
抜糸後の穴のあたりを試しに舌で探ると、そこそこの大きさの穴だった。
うーん、なんか色々詰まりそうだな……。
【長い戦いの始まり】
抜糸して穴が出来てからの初めての食事。
いつもの玄米パックで卵かけご飯を食べる。
穴がある方の歯は使わないように気をつけながら……。
あ、駄目だわ。
玄米がいつの間にか穴に入るわ。
しかもめっっっちゃ痛い。
穴に玄米が入るとホントめっちゃ痛い。
そして出てこない。
穴から全然玄米が出てこない。
しかも穴に入っている玄米はダメージを与え続けてくる。
軽いうがいでもしてどうにか玄米を出さないと、痛すぎて耐えられない。
コップに水を注ぎ、うがいを試みた。
死 ぬ ほ ど 痛 い 。
いうなればアルティメット知覚過敏。
蛇口の水レベルの温度でもアイスを当てたレベルで痛みが走った。
もう半泣きだが、とにかく玄米を穴から排除しなければならない。
シャワーの温かいお湯で軽くうがいを繰り返して、どうにか玄米を穴から出すことに成功する。お湯なら知覚過敏は起こらないようだ。
でも、余韻のような痛みが残っている。
これは、まずいぞ……。
【穴との戦い】
そもそも親知らずを抜こうと思ったきっかけは何だったか。
食事後に食べ物が詰まるのが嫌になったからだ。
なにか詰まったら糸ようじで排除しなければならなかった。
めんどくさすぎたのだ。
だが今はどうだろうか。
食事をするとどんなに気をつけようが穴に何かしら入り込む。
肉の欠片、冷たい飲み物、玄米。
穴に入ったらすぐわかる。痛いから。
そしてそれが穴から全然出てこない。
出すためにはお湯でうがいする以外の選択肢はない。
糸ようじの方が100倍楽だったじゃないか。
もはや外食など絶対にできない。
出先で簡単にお湯の調達は出来ないのだから……。
でもこれってドライソケットなのだろうか?
もしそうだとすると歯医者に行けば治るのだろうか?
歯医者の見解を色々なサイトで見てみると、基本的には、
「まあ長くても半年くらいすれば歯茎の肉で覆われる」という感じである。
「もう一度穴のあたりを傷つけて血餅を作り直す」という手もあるらしいが、それをしたところで穴に物が詰まるのは変わらない。
そもそもあれだけ気をつけたのに血餅が出来てなかったとも思いたくない。
肉だ。
肉の成長を待つしかない。
マジか……。
【終戦】
大成功の手術から、一週間後の抜糸を終えて始まった地獄。
ちょうど3ヶ月くらい経った頃、やっと穴がふさがった。
本当に肉は育つのだ。
もう玄米が詰まることはない。
何を食べようが食後にうがいをする必要はなくなった。
これでようやく、気兼ねなく外食ができる。
でもなぜだろう。
冷たいものを飲んだり、熱いコーヒーを飲んだりすると知覚過敏になっている感じがある。
実はまだマイクロ単位の隙間があって、敏感な部分に入り込んでいるのだろうか・・・?
まあでも、歯の間に何も詰まらない生活は素晴らしい。
手術してよかった。
この状態になるまでに、半年かかってるけど。
【これから親知らずを抜歯する人へ】
親知らずは厄介である。
特に横倒しなどのたちの悪い生え方をしていると大変さが増す。
そしてコロナ禍の今、体温測定やワクチンチェックなど様々な手間も追加されている。
自分のように手術するまでに数ヶ月を要する可能性もあるので、早く解決したいならさっさと動き出した方が良いかもしれない。
そして術後にも自分のように苦しむ場合がある。
きつかったら歯医者へ行こう。
なんか今調べたら抗生物質入りのガーゼを穴に詰めてくれる処置があるらしい。
・・・素直に歯医者行っときゃよかった。
そんな、親知らず抜歯体験記でした。