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【栄養】今更聞けない!コレステロールは不健康の証ではない

はじめまして、健康美容コンサルタント(薬剤師)の宮本(@holistic_ph_919)です。

コレステロールってどうしても悪いイメージを持ってしまう方が多いかもしれません。

健康診断でも中性脂肪(トリグリセリド)・総コレステロール・LDLコレステロールといずれも数値が高いと食事指導や運動指導をされるものになります。

肥満や動脈硬化の原因となって、生活習慣病となる典型的なものと言えます。

しかし、今コレステロールの解釈が少しずつ変化しているのをご存知でしょうか?

この記事を読むことで、得られるメリットは以下になります。

・脂質とコレステロールの違いが分かる
・コレステロールを減らしすぎてはいけない理由が分かる
・女性の更年期以降のコレステロールをどう解釈するかが分かる

ここで紹介した内容以外にも、皆さんが有益だった食事や栄養の内容がございましたら、noteやX(Twitter)、Youtubeのコメント欄でご意見をいただけるとうれしいです。


01|脂肪の大半は脂質が由来ではない

コレステロールの話をする前に、前提知識として脂肪や脂質についても知ることが大切です。

女性の場合には、更年期を過ぎたあたりから肥満になりやすかったり、健康診断の数値としてもコレステロールは高く現れてきます。

そのため、脂肪と似たような言葉の脂質は、高カロリーの面からも女性の敵とされ、生活習慣病予防の広がりもあって、脂質を摂らない方が良いという食事法が広まった時期もありました。

しかし、これに関しては大きな誤解であります。

脂肪の大半は脂質が由来するものもありますが、その多くが糖質からであることです。

体内に残った糖質は、血糖値を下げるホルモンのインスリンのはたらきによって、脂肪細胞へ蓄えられます。

ちなみに、脂質は血糖値の影響が低いため、インスリンのこのようなはたらきの影響はありません。

その後、糖質から変換された中性脂肪が体脂肪として蓄積してしまうことで肥満や動脈硬化の原因となってしまいます。

もちろん、中性脂肪として食品から摂取された場合でも起きるとされていますが、今のところ糖質によるものの影響の方が脅威と言っても良いと私は思います。

コレステロールの話に入る前に、女性にとって大切な脂肪の話をもう少しふかぼししていきましょう。

02|皮下脂肪は女性らしさを生み出す味方

脂肪の基本的な役割は、体外の温度差から生体を保護したり、クッションの役割を果たしています。

女性の場合には、女性らしい体つきを生み出すのに関係しますし、男性に比べて筋肉量も少ないですので内臓の冷えを防ぐ役割に関係しています。

女性ホルモンのエストロゲンは、脂肪蓄積作用によって女性の皮下脂肪が増えるようになります。

逆に、エストロゲンによって増えた脂肪からは、脂肪の蓄積が過剰にならないように抑制する「レプチン」というホルモンが分泌されます。

これによって脳内の摂食中枢にはたらきかけて食欲を抑制する作用で、脂肪の増殖を抑えることにつながります。

また、脂肪から分泌されるレプチンには、卵巣機能を活発にしてエストロゲンの産生を促すというはたらきもあります

レプチンの分泌量は、脂肪の総量に比例してくるため、初経が起こるには一定量のレプチン濃度が必要といわれています。

適切な皮下脂肪の量があることによってエストロゲンが上昇し、初経を迎えることができます。

逆に言えば、皮下脂肪が少なければエストロゲンの分泌が不十分で月経が起こりにくくなります。

そのため、若年女性の過度なダイエットで短期間に体重を減らしてしまうと、月経不順・無排卵・無月経に陥ることがあります。

例えば、3~6ヵ月間で体重の10%以上減量すると、皮下脂肪が失われて血中レプチン濃度が低下するため、卵巣からのエストロゲン分泌が低下してしまいます。[1]

このことから女性にとって、エストロゲンと皮下脂肪は、お互いに良好な関わりがあります。

思春期女性から妊娠を考える性成熟女性の方は、体脂肪率を気にしていない見た目の変化を求めるような過度なダイエットは避けた方が良いでしょう。

※内臓脂肪を減らすような減量手段を取ることを優先してください

03|コレステロールの意外すぎる恩恵

ここ最近は、百寿者研究といって百歳を超える人たちの生活習慣を知ることで長寿の秘訣を知る研究が盛んに行われています。

その中で、東京都健康長寿医療センターが行った東京都と秋田県に住む65歳以上の高齢者約1,150名を対象にした6年間(1991~)調査をした研究で、長生きする人たちの特徴をいくつか報告されています。

引用:公益財団法人長寿科学振興財団

その中でも言われているのが、長寿の方はコレステロールの値が高かったということです。

一般的にLDLコレステロール値や総コレステロール値が高いと心疾患リスクが高まることが言われているため、コレステロールは脂質と同様に悪だと今でも言われています。

しかし、食品からのコレステロールの摂取は全体量の20〜30%にすぎず、70〜80%は体内の脂質や糖質を利用して肝臓などから合成されると考えられています。[2] 

その他の研究報告でも、総コレステロールの値が下がりすぎる(180mg未満)と逆に死亡率が上がる報告もされています。[3]

ここで気をつけていただくたいのが、総コレステロールの値が280mg以上では死亡率が高くなることも分かっています。

また、草津町研究と呼ばれる別の高齢者の研究では、BMIが高すぎると女性の場合には、ロコモティブシンドロームなどによる足腰に負担がかかる影響で、介護になるまでの健康寿命が短くなったという報告もあります。[4]

04|脂肪やコレステロール関連の検査値が変わった

また最近、健康診断でのコレステロールに関連した数値が検査会社ごとにバラバラだったものが、日本臨床検査標準協議会・基準範囲共用化委員会が2019年に作成した基準範囲に検査会社が統一されました。

数値によっては、余裕が生まれたような雰囲気にも見れますが、この基準値は健康を表す数値ではないとされてはいます。

中性脂肪 
新  男性:40〜234mg/dl 女性:30〜117 mg/dl
旧  50〜149 mg/dl

日本動脈硬化学会による診断基準
空腹時採血で150 mg/dL以上
随時採血で175mg/dL以上は高トリグリセライド血症

総コレステロール
新 142〜248 mg/dl
旧 150〜219 mg/dl

HDLコレステロール
新 男性:38〜90 mg/dl 女性:48〜103 mg/dl
旧 男性:40〜86 mg/dl 女性:40〜96 mg/dl

日本動脈硬化学会による診断基準
・40 mg/dL未満は低HDLコレステロール血症

LDLコレステロール
新 65〜163 mg/dl
旧 70〜139 mg/dl

日本動脈硬化学会による診断基準
・140 mg/dL以上は高LDLコレステロール血症
・120~139mg/dLは境界域高LDLコレステロール血症

しかし、このような高齢者の研究が進んだことで、コレステロールに関連した数値にも何かしらの影響があったのではと私は思います。

また、医療機関によっては、日本人間ドック・予防医療学会の数値を採用している検査もあるため、非常に血液検査が受けるところで評価が食い違うこともあります。

そのため、日本動脈硬化学会による診断基準についても記載していくことで、臨床ではこちらを反映されていく可能性は高いと考えられます。

05|コレステロールは様々な物質の材料になる

コレステロールは、糖質や脂質から合成されます。

実は、さらに体内で反応が進むとホルモンなどを作るために大切な材料となります。

2つの女性ホルモンのエストロゲン・プロゲステロン
男性ホルモンのテストステロン
抗ストレスホルモンのコルチゾール
ビタミンD
コエンザイムQ10(CoQ10)

女性の場合には、卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少する更年期以降から、中性脂肪やLDLコレステロールの増加になりやすいことが知られています。

その結果、内臓脂肪の蓄積がされやすくなったことで生活習慣病の1つである脂質異常症と診断されることがあります。

ここで注意していただきたいのが、脂質異常症と診断された際に用いられているコレステロールの薬として「スタチン系製剤」と呼ばれる種類のものがあります。

スタチン系製剤を使用すると、その先の反応にあるコレステロールの合成ができなくなるので、LDLコレステロールの数値が下がっていきます。

しかし、ここで見逃せないのが、その先に合成される女性のとっても有益な物質も阻害してしまうことです。

特にコエンザイムQ10(CoQ10)・ビタミンD・コルチゾールです。

CoQ10は、エネルギーを生み出すのに使われる物質であり、他にも抗酸化作用や老化を予防するのにも関係する成分です。

CoQ10は、20代を境に年齢とともに減少していくだけでなく、スタチン系製剤を使用すると産生がさらに減少してしまいます。

薬の種類にもよりますが20%〜50%以上減少する報告もあります。[5]

CoQ10が減少するとエネルギーをうまく作れなくなることで疲れやすくなる、免疫力が低下、冷え性、肌の状態が気になるなどの状態を引き起こします。

コルチゾールは抗ストレスホルモンとして知られておりますので、スタチン系製剤を使用するとストレスに敏感になりやすく、精神状態に影響してきます。

また、スタチン系製剤は、ビタミンDの合成も阻害してしまうため、女性にとっては骨の健康に影響してしまい骨粗鬆症を促すことにつながる可能性があります。

このようなこともあるため、コレステロールが増えてしまやすい更年期以降は、糖質を意識した食事へ変更していただく必要があると私は思います。

また、既にスタチン系製剤を服用されている方の場合には、CoQ10・ビタミンDのサプリメントと併用することで、十分に薬で生じるリスクを減らすことができますので取り入れてみましょう。

06|LDLコレステロールは動脈硬化・プラークの原因でない

ここ最近言われるようになってきたのが、LDLコレステロールは動脈硬化や血管内にできるコブのプラークの原因ではないということです。

では何が原因なのかというと、LDLの中でも酸化型LDLというものがプラークや動脈硬化の原因であると詳細に分かってきました。

引用:ハルメク

この酸化型LDLは、小型のLDLが血管内を通過して、免疫細胞のマクロファージが溜め込んでしまうと泡沫細胞というものになります。

これが血管のプラークの原因となって、動脈硬化につながるというのが今知られてることです。

男女で比較すると、一般的に女性は男性よりも中性脂肪値が低く、LDLコレステロールが小型化しにくいという特徴があるため、同じLDLコレステロール値でも、女性の方が動脈硬化が進みにくいとされています。

このことから、女性の場合は、中性脂肪が低ければ、LDLコレステロールが高いのはあまり気にしなくて良いことになります。

そして、この酸化型LDLの検査ができる医療機関はまだ限られるそうなので、もしも人間ドックなどで調べられる場合には、酸化型LDL検査をする方が動脈硬化や、その先にある心筋梗塞、脳梗塞のリスクを下げられるでしょう。

参考文献
[1]「エストロゲンと女性のヘルスケア」(メジカルビュー社)
[2]日本人の食事摂取基準(2020年版)
[3]https://diamond.jp/articles/-/321825
[4]https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-2-2.html
[5]Marcoff, Leo, and Paul D. Thompson. "The role of coenzyme Q10 in statin-associated myopathy: a systematic review." Journal of the American College of Cardiology 49.23 (2007): 2231-2237.

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ホリスティック薬剤師 宮本知明
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