【全文無料】11年後。無断欠勤がルールのエビ工場
こんにちはパプアニューギニア海産代表の武藤北斗です。
自分の生活を大事にできる職場を目指し動き始めたのが2013年7月。いつの間にか11年の月日が流れていました。『フリースケジュール』や『嫌い表』などの取り組みは多くのメディアに取り上げて頂きましたが、いかんせん文字数や放送時間に限りがあり根幹部分まで伝えるのは難しいなと感じています。ならばと補足するべく毎週金曜にnoteを投稿しています。
この11年で実感しているのは、従業員が自分の生活を大事にできる職場というのは、本人はもちろんのこと会社が継続していくためにも重要だということです。
11年前に改革を始めてから辞める人が圧倒的に少なくなり、新人が育ちベテランは自分の力を発揮するようになりました。後ほど紹介する様々な考えや施策も功を奏し争いごとも急激に減りました。そんな組織で働いていると『サボる』とか『誰かを排除する』といった考えは自分にとってもマイナスだと感じるようになります。当然のように効率や品質は向上し会社経営も安定しました。
対話を繰り返す中で従業員との信頼関係も構築されてきましたが、ただ基本的に人間というのは争ってばかりのどうしようもない生きものだと私は思っています。歴史や今なお続いている世界中の争いを見れば明らかです。ですがその争いを起こさないように考え実行できるのも人間です。
争いさえ起こさなければ人は幸せに生きていけるはず。そこに執着する私の考えは偏っているかもしれませんが、組織としてのあり方や細かなルールの作成にいたるまで全ての根底に『争わない』があります。
今回の投稿では11年かけての試行錯誤を端的に分かりやすくご紹介したいと思います。シンプルだけど大事なことが詰まっています。一人でも多くの人に何か伝われば嬉しく思います。
まずスパッと8行で何をやっている会社か説明します。
㈱パプアニューギニア海産。会長1名、代表取締役兼工場長(私)1名、事務社員1名、工場社員2名、パート従業員約20名の水産会社です。パプアニューギニア産の天然エビを輸入し大阪府摂津市の工場でエビフライなどを作っています。
工場1階が作業現場で2階に事務所と休憩室があります。平日の8時30分ー17時が稼働時間となっており土日祝日はお休み。『家族や友人に食べてもらいたい食べものを作る』をモットーにしており、薬品や添加物に頼らず手造りを大事にしています。
さて、これからお話しするのはパートさんに対しての働き方が中心です。ですが社員だけの会社さんもぜひ読み進めてください。従業員との関係性やリーダーとして組織をどう考えるかは共通していますし、仕事に限らず人間が生きていくうえでの全ての人間関係に関わる話ではないかと思っています。
ではまず私が非正規雇用(パートさん)という働き方をどう捉えているかをお話しします。
パートさんは社員にならない理由があるから月給ではない時給の働き方を選んでいます。ですから毎日出勤する人はほとんどいません。うちで言えば週に3日前後の人が多いのでパートさん同士は週に1回とか2回しか会わない人が沢山いるわけです。そのパートさん同士が阿吽の呼吸で仕事をしたり、仲良くコミュニケーションとったり、日々の変化を把握して働くのはとても難しいことです。これは仕事ができるとかできないとかそういう問題ではなく、全体を把握しにくい働き方なんだと思います。
そのパートさんが気持ちよく一生懸命働ける職場とはどんな職場なのか。組織に求めているものは何なのか。私が出した答えは『自分の生活を大事にできる職場』であり『人間関係に悩まない(争いのない)職場』でした。
そしてそれは当然ながら社員にとっても大切なものです。繰り返しになりますが根底にある考え方はパートさんも社員も関係なく全ての従業員に共通するものです。ぜひそこを読み解いて頂ければと思います。
それでは私が大事に考える16個のルール・考え方についてお話しします。
①好きな日に働き休む(フリースケジュール)
パプアニューギニア海産の代名詞にもなった『フリースケジュール』。簡単に言いますと好きな日の好きな時間に出勤・退勤できるシステムで、さらに重要なのは連絡が禁止だということです。退勤時間に関しては出勤時に工場入口のホワイトボードに提示し、給料の計算はタイムカードで行います。
働き方を変えようと考え始めた11年前、小さなお子さんのいるママさんが多かったため子育てしながら働きやすい職場にすることが一つのテーマになっていました。パートさんと面談する中で見えてきたのはそもそも『どう働くか』よりも『どう休めるか』の方が重要だということでした。
そこでまず考えたのが『好きな日に働く』というより『好きな日に休める』システム。しかも重圧なく休めることが重要と考え電話やメールなど全ての連絡を禁止し、いわゆる無断欠勤をルールとしました。これで高熱に苦しみながら、子どもの苦しんでる姿を見ながら、上司に嫌な態度をとられながら連絡する必要が無くなりました。
誰もやったことがない方法でしたが私はうまくいく気がしていました。なぜかというと、子どもの体調が悪かったり、自分が高熱だったり、そんな時に電話連絡は必要でしたがこれまでも当日欠勤を許可していたからです。これってよく考えると休むという事実は同じで、連絡してしんどく休むか、連絡無しで気持ちよく休むかだけの違いだと気づいたのです。そしてパートさんは時給ですから出勤しなければお給料になりません。であれば会社が強制しなくとも出勤数は確保できるのではと考えました。
2013年7月にフリースケジュールは始まりました。まず一番大事なことはこの11年間で人員不足による欠品はありませんので会社としての目的は達成しています。そして気になるのは誰も来なかった日はなかったのかということだと思いますが一日だけありました。ただその時はまだ従業員数が9人でしかも勤務時間が固定だった初期の頃です。人数が増え時間もフリーになってからの9年間は0人の日はありません。
そしてここ数年で一つ厳しくなったことがあります。それは最低出勤時間数を決めたことです。多様な人が入ってくる中で何ヵ月も出勤しない人が出てきたため、最低2週間に20時間は出勤しようというルールを追加しました。何でも緩くするのではなく、争いがおきると判断すれば厳しくするのも重要なポイントです。
*voicyでも解説しています
②嫌いな仕事はしてはいけない(嫌い表)
毎月アンケートをとり『嫌い』だと表明した作業をやってはいけないというルールです。どんなことがあっても絶対に手を出してはならず、気を使って少しでもやろうとしたら工場長の私に『ルールを破らないでください!』と怒られます。
作ったきっかけは、掃除が面倒で大嫌いな私に『私は掃除は好きです』と話してきたパートさんがいたことです。自分が嫌いなものを好きだということに驚くとともに、他の作業はどうなんだろう?と思いすぐにアンケートをとりました。主要作業を30項目ほど並べ好き嫌いを聞いてみたのです。すると今考えれば当然なんですがバラバラな結果がでました。
そしてこの表を見ながら思ったのです。好きな人と嫌いな人がいるのに、わざわざ嫌いな人がやる理由はなんだろうと。考えても答えは出なかったので『嫌いな作業はやってはいけない』というルールを作り9年がたちました。嫌いな作業を嫌々やる人がいなくなると組織の雰囲気は一変しますし、出勤する時なども気持ちが変わってくるようです。
ただ中には『嫌いな事にも取り組み乗り越えることに意味がある』と考える人もいます。否定はしません、そんな一面もあると思います。だからそんな時はアンケートで嫌いと表明しなければいいのです。そうすれば思う存分嫌いなことに取り組めます。何かに立ち向かう事も自分で選ぶ、それでこそ自分の糧になるというものです。
③休憩は自由に
出勤・退勤時間ともに毎日自由になると休憩時間を固定することがとても不自然に感じてきます。例えば11時40分に出勤した人が12時から休憩するなんてどう考えてもおかしいのです。休憩時間はお給料には入りませんので、今は2回までなら時間数に上限はなく何分でも何時間でも休んでよいことになっています(ただし5分単位)。出社時に工場入口にある所定の用紙に記載することになっており、途中で変えたり突然休憩することはできません。
そして休憩は一人一人が自由に使える時間だということを大切に考えています。小さな工場なのでスペースが限られていますが、3年ほど前から1人になれるスペースを作りました。1人用のソファを壁側に向けさらにパーテーションで仕切られています。誰のことも気にすることなく寝るでもゲームするでも本を読むでもいいのです。
ただしそれとは別にテーブルで話をしながら休憩するスペースもあります。それぞれが自由に選択することが大切です。普通の工場だと同僚の目が気になって1人スペースへ行くのはなかなか勇気がいると思います。しかしうちの場合は出退勤時間が毎日バラバラだし、休憩時間も5分単位で自由なので周りの目が気になりにくく、更にミーティングで何度もそれぞれがゆっくり休んでこその休憩時間、お互いの休憩方法を尊重しようと話をしました。
*voicyでも解説『休憩は心と体休めるもの』
④本気で意見を大切にする
従業員からの意見は大事だと誰もが言います。しかし、ただ聞くだけでは大事にしていることにはなりません。
まず面談や意見を出してもらうのは仕事の一つですから、必ず時給が発生している時間に行います。休憩時間やタイムカードを押した後に話を聞くような姿勢では本心で話してもらう事はできません。
場所も大切です。間違っても社長室みたいな自分のテリトリーで話をしません。現場の人が普段働いている場所でお互いパイプ椅子に座ってくらいがリラックスできていいのではと思います。
そしてもらった意見に関しては必ず答えを返します。会社にとって耳が痛い話であっても、細かい話であっても、しっかり検討したうえで答えを返します。採用される意見があれば却下になる意見もありますが、どちらにしてもその経緯や理由をミーティングで伝えます。結論だけ言われてもなかなか納得できるものはありません。ちなみにミーティングは全員参加しているわけではないのでYOUTUBEにアップして誰でも見れるようになっています。隠すことはないので従業員以外も誰でも見れるようになっています(工場長の感じが悪いとちょっと炎上した動画もありますが、あえてそれを従業員募集のページに貼っています。私は本当に優しくはないので勘違いして入ってくる人を減らすためです)。
逆に面談の内容を秘密にしてほしいと言われる時もあります。その時はすぐに周りに注意したいことであっても我慢します。意見を大切にするというのは組織改善だけではなく、1人1人が安心して働けなければ意味がありません。ただ私がその問題点を現場で直接見つければ解決はできますので、みるべきポイントを教えてもらったことに感謝しています。
⑤1人でルールを作らない
うちには細かなルールが山ほどあります。これは従業員を縛るためではなく、曖昧なことをはっきりルール化することで従業員一人一人の迷いやストレスを減らし争いをなくすためです。
そんなルールを作る際に大事なのは、現場の声から作っていくことです。それをまとめるのがリーダーであり、かつそのリーダーは現場で一緒に働いている人でなければいけません。間違っても現場に入っていないトップが机上の空論で作ってしまわないように注意してください。私は代表取締役になった今でも毎朝2時間ほど工場で作業をします。この時間があることで現場の意見をはじめて理解できるからです。
では、現場に入っているリーダーが1人で作るならどうでしょう。1人で作る方が早いし見た目はきれいに統一されると思います。しかしそれでは従業員にとってはただ押しつけられただけのものになってしまいます。組織としてのルールは多少は凸凹があっても多様な意見を取り入れて作られた自分達のルールであることが重要です。
そんなルールであれば、やっぱりしっかり守ろうと思うし、問題点があれば変更しようと思えるものです。無闇に破らなくなることでルールはより機能を果たし人を縛るものではなく自由のための道具となります。
⑥ルールは絶対だけど変更もする
組織のルールは何があっても絶対に守るべきものです。どんな突発的な問題が起きようとも個人の判断で勝手に変えてはいけませんし、たとえ一時的に効率が落ちたとしてもルールは絶対に守るべきものです。その位徹底しないと守っている人が浮いた存在になって嫌な思いをする可能性があり、そうなると誰もルールを守らなくなります。
と同時にルールは変えていくことも大事です。変えることを面倒に思ったり恐れたりすると、これまたルールを守らない人が増えてきます。そのため時にはスピードも大切です。うちの場合、内容によっては意見をもらった日に社員ミーティングにかけすぐに変えることもあります。
また逆に慎重に進めるべき内容に関しては他のパートさんの声も聴きながらじっくり進めます。その期間があまり長くなるようであれば全体ミーティングで『問題があるのは分かっているけども、現在検討中なので今は現状のルールを守ってください』とお願いします。そして新しいルールが決まった時に全員で一気にルールを変更します。
リーダーが問題点を把握していることを知らせたり、行動をしっかり提示することで従業員は安心してルールを守ることができますし、共に進めることで変更することへの抵抗やハードルも下がっていきます。
⑦無理に仲良くしない
働きやすい職場というと笑顔あふれる和気あいあいとした集まりをイメージする人が多いと思います。しかし従業員にどんな職場がよいか聞いてみると、楽しさよりも人間関係に悩まされず長く働ける職場を求めている人が圧倒的に多かったのです。ボス的な存在に困っていたり、仲間外れにされないかと心配する日々が解消されることの方が重要だったのです。恥ずかしながらうちも以前は人間関係が理由で退職する人が多かったので何となく想像していた結果でもありました。
ただ仲良くはしないけれど仲が悪くなってはいけません。仲が悪くならないだけなら簡単かと思いきや、やってみるとなかなか難しい。人間はどうしても自分と人を比べて争いを始める生き物なのです。
そんな私達が行きついたのは、ちょっと冷たく見えるけどもあえて距離をとり『仲良くする努力をしない』ということでした。仲良くしないとは違って、その努力をしないというところがポイントです。これもやっぱりミーティングで話をしました。『もう無理に仲良くするのをやめよう、それよりも争いや苦しみがない職場を目指そう』と。それから離職率はグングン下がり今に至ります。
⑧パートさん同士での質問禁止
ルールは絶対だと言いましたが、そのためにはルールがぶれてはいけません。しかしマニュアルに全てを書くことは難しいですし、細かいことほど確認が必要になることはあります。その時に曖昧な人同士で聞き合ってしまうとルールが崩れていきます。
昔はパートさん同士でも聞きあっていましたが、どうしても親しい人にばかり聞いてグループごとの認識の違いができていました。こうなるといろんな争いが勃発します。
そこでパートさん同士で質問することや指示することを全て禁止し、分からないことは必ず社員に質問することにしました(社員は社員ミーティングで情報共有する)。この方法にしてから一気にルールが統一され、質問すること自体が減りました。
ついでに言いますとパート長も廃止しました。パートさんがパートさんをまとめるのは社員が楽するための制度な気がします。パートさんをまとめるリーダーは社員がやればいいだけの話しです。
⑨解雇しない
『ルールを守り一生懸命働いてくれれば絶対に解雇しません』何度もミーティングで話していることですが理由は大きく二つあります。
一つは安心して働くため。いつ解雇されるかと不安を抱えながら仕事をする日々は精神的に辛いですし、そんな状況でいい仕事などできません。解雇するぞという圧力よりも、解雇されない安心感こそ会社が従業員に感じてもらうものではないでしょうか。
またもう一つは、誰かを排除しようという気持ちを持たないため。もし私が個人的感情でドンドン解雇する経営者だったとします。すると従業員同士で自分が気にくわないと思った人がいた時に、私がその人を解雇したくなる方向へ誘導することは容易なはずです。しかし私が絶対に解雇しないと宣言していれば、気があわないと思った人とでも一緒にやっていくしかないと排除を諦めるしかなくなります。
ここで先ほどの無理に仲良くしないことが功を奏します。全員と仲良くしてくださいと言われると気が合わない人とも無理に距離を近づける必要がありお互いに疲弊します。しかし無理に接近しなくていいのであれば一緒の現場で淡々と働くことは可能になるのです。
⑩社員もしっかり休む
うちのパートさんの働き方を聞いた人から『社員にしわ寄せが行かないのか』とよく質問されます。たぶんいかないと思いますが、何をもってしわ寄せというのか難しいので現状をそのまま話すことにします。
社員も土日祝は休み(たまに祝日に2時間ほど出勤あり)で、平日は8時20分くらいに出勤。1時間休憩をとって1人は6時前後、もう1人は6時30分前後に退勤しています。もちろん残業はつきますし有給も使っています。
今年の3月には2人しかいない社員のうちの1人が3週間連続の有給をとりました。残りの1人と私はいつもよりは忙しくなりましたが、出勤退勤時間は普段と変わらないよう事前に対応を考えていました。もちろん3週間仕事の連絡はしていません。
なぜ連休まで取れるかと言えば、常日頃から社員も有給休暇がとりやすい体制を整えているからでしょう。そして連休になっても調整すれば問題ないような役割分担やルーティーンを考えています。
また誰かが休みの時だけ突然その役割を任せるのではなく、休んでいない時も定期的に役割を交換(1日だけ任せる)ことで不安感を無くすようにしています。すると有給をとることで誰かに迷惑をかけるのではという不安も無くなります。『有給は取るべきものだから我慢しあえ』ではなく、気にしなくてもいいような日々の対応を考えるのがリーダーの役割です。
そして大事なのはパートさんはフリースケジュールなどで働きやすい職場を目指し、社員は有給の活用や日々の役割分担などで働きやすい職場を目指す。お互いがそれぞれ満足してこそ争いのない職場を共に目指せるのです。
⑪忘年会、飲み会、お土産無し
もともと飲み会などはやっていませんでしたが、忘年会を10年ほど前に辞めました。理由は簡単でみんなに聞いたら年末は忙しいからない方がいいと言われたからです。たしかに12月は繁忙期なので工場もバタバタしておりその合間をぬって忘年会をするなら新年会の方が落ち着いてできていいなと思っていました。
ただ誰も幹事をやりたがらないのです。私も嫌です。なら一度全部やめてみようとなりそれが続いている状況です。もちろん飲み会が悪いわけではなく、うちの従業員はそれを望んでいなかったからその声をいかしたにすぎません。やりたいという声があがり、幹事は私に任せてください!という人がでてきたら再開するかもしれません。個人的には気の合った人との酒の席は嫌いではありませんので。
あと似た話として旅行のお土産も禁止になりました。誰が買ってきた、買ってきてない、美味しい、まずい、そんなことで争いを生むのは馬鹿らしいですし、旅行帰りの荷物を増やすこともなくなりました。ただお客さんからもらったお菓子などはその日に出勤した人で分けます。
⑫サボる人への対応
サボる人、ダラダラ働く人、陰でルールを破る人、そのような人達は確かにいました。どのように注意し心を入れ替えさせればいいのか。昔の私はただただその人達が悪いのだと考え威圧的な注意を繰り返していましたが、なんの問題解決にも繋がりませんでした。
しかし争いのない組織になるにつれてそのような人は激減し、問題はリーダーである自分にあったのだと気づきました。今もしサボる人がいたらそれは私がそんな組織を作ってしまっている結果なんだと反省します。私がやるべきは彼らを責めるだけではなく(もちろん注意はします)、従業員がサボろうと思わない職場にむかって努力することなのだと思っています。
そしてサボるには彼らなりの理由がありそれを解決しないと組織全体としては問題が残り続けます。解決のために必要なのはやっぱり対話です。威圧を与えるのではなく対話から一緒に解決策を考えていく覚悟が必要です。その覚悟がない人はリーダーという役割はむいていません。
⑬時給統一
いろんな人が働いていますが全員の時給が同じです。1日目の人も10年目の人も。10代も50代も。障害があってもなくても。とにかくパートさん全員が一緒です。
人は誰でも得手不得手があります。パートさんという働き方の中で特定の作業の良し悪しで評価することは争いを生むことに繋がると考えています。また少なければ数十円の差で従業員同士の比較が始まり穏やかな組織を崩していくのはあまりにもったいないと思っています。
⑭障害のある人と働く
メディアに取り上げられるようになり、日本中からたくさんの人が応募してくれるようになりました。その中には障害がある人もいて、いろんな理由で働くことができないたくさんの人達がいることを私に気づかせてくれました。
あるパートさんは今まで働いたことがありませんでした。同じ時間に出勤することが重圧で苦しかったそうですが、フリースケジュールであれば重圧なく出勤できるということでした。またあるパートさんは計算が苦手なので計量器の前だと頭が真っ白になってしまいます。けれど嫌い表があるのでその重圧に悩まされることはありません。
私達が作るルールは基本的には障害がある人もない人も関係なく運用しているのがポイントです。無闇に差をつけることで『許す』という感情を生みたくないからです。気にしなくていいよと許すのではなく、気にしなくていいルールを運用する事こそが重要なのだと思います。
一応付け加えますと、うちには嫌い表という最強のルールがありますので、いろんなことが簡単に選べるシステムなのが強みです。
⑮苦しみを理解できない時もある
数年前に社交不安障害のあるパートさんから挨拶が苦しいという話がありました。喉まで言葉は来ているのだけど声にならないのだと話してくれました。私は必死に彼を理解しようとしましたが、挨拶が大好きな私にはどうしても理解できませんでした。
その間も彼は苦しみ続けています。そこで私は理解することをやめました。私が理解する必要などなく苦しんでいる彼をただただ受け入れ認めるだけでいいのだと気づいたのです。
彼は『ありがとうございます』が出てこなかったのですが、気づきを得た私達は今度は工場での『おはようございます』という挨拶に関しても考えるようになりました。したくない人が嫌々する挨拶は気持ちよくないですし、苦しんでいる人の挨拶はこちらも苦しくなります。今では嫌い表の中に工場での挨拶という項目があり、挨拶をするかしないかを選べるようになっています。
苦しみを理解する必要がないと分かった時、私の中で何か一つ重しが取れたような気がしました。それからは今まで以上に視野が広くなったように思います。
⑯なぜ失敗が怖くないのか
試行錯誤を繰り返す私をみて『失敗は怖くないのか』と聞のてくる人がとても多いです。シンプルに答えたいところですが、勘違いされると困るのでまずは皆さんにお聞きします。働きやすい職場や争いのない組織を作る中で、失敗もしくは成功とは何ですか?
私にとっては『意見を聞き、考え、行動する(もしくは行動しない判断をする)』これが私にとっての成功です。もちろん行動した結果がうまくいき継続できれば嬉しいです。しかし組織にとって大切なのはともに考え行動(判断)することであり、結果がどうなるかはそこまで重要ではないのです。
ですから私にとって失敗というのは、意見を聞くのをやめたり考えるのをやめてしまう事なんだと思います。私利私欲のために居座っている自分を想像すると怖くて震え上がります。
だから私は自分が考える失敗に行きつくことは怖いけれど、一般的に言われている失敗(結果がうまくいかなかったこと)に関しては一切怖くありません。というよりも私としてはそこまで行ってる時点で成功しているわけですから『考え行動したけど、うまくいかないことが分かったね』と前向きに従業員と話している事でしょう。
こんな長い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。
その上でお願いになってしまいますが、こんな私達の作るエビフライをぜひ食べてみてください。きっと実感するはずです、自分の生活を大事にできる職場、争いのない職場で作るエビフライはこんなにも美味しいのかと。
パプアニューギニア海産
代表取締役工場長 武藤北斗
・1回方式の働き方アドバイザー始めました
・人気NO1のオリジナル ブツ切りエビフライ
・人気No2 お家で豪華にエビフライ!!