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“みたいな”わたし

1ヶ月間地元に帰ることになった。

 年末年始もほとんど1ヶ月滞在したし、3ヶ月ぶりだけど、春に帰るのは3年ぶりだった。
 ギャルに憧れておっきいカラコンした私を見たじいちゃんは、『なんか違う』感が全身から溢れ出したまま「おかえり」と言ってくれた。

 「今回、検査はしなくていいからさ、1週間くらい部屋から出ないでよ。それでいいから」と母に電話で聞かされて
 「この日に帰ってきて」と、母に言われるまま帰ってきた。

 学校もバイトも休んで実家に帰ってきた。目的の教育実習はまだまだ先だけど、やっぱり関東から来るってなると、学校もピリピリするらしい。

 内定も取れてないのに、本気で教員になるつもりもない私。小2の時に九九を覚えるのがクラスで1番遅かったように、きっと就職だって、誰よりも遅く決まるんだろうな。そんなこと毎日考えた。

 本当の自粛ってこんなに暇なんだ。ご飯は運ばれてきて、受け取る時はマスクして。お風呂は1番最後。日中は部屋で寝るか漫画読むかSNS。本とか映画は教養を摂取してる感じがするから、気分が良くなる。まるで塔の上のラプンツェルかよ。1人でつっこんで、ひとりで笑う。
 ああ、『こんな時に犬か猫がいてくれたらな』って、そんな欲は3日でなくなったけど、次は『窓を開けたらイケメンの幼馴染がいたらいいのにな』って。そんなことばっかり考えて。昔飼ってたメダカもいないし、窓を開けても、隣の家のほぼ使われていないであろう部屋と、田舎っぽい村。見慣れた村。

 本を読んでも、映画を見ても、あんまり感想が浮かんでこない。
 国語の授業で登場人物の気持ちは全部書いてあるって習った。学校のテストでも、国立入試でも全部抜き出して文章を作った。ほとんどあっていた。登場人物の気持ちを想像するなんて、必要ないよ。全部書いてあるし、それで正解。見つけて、繋げたら正解。
 そうやって文章に向き合って来れなかったからなのかな。先生になるなら、私のような生徒を育てないようにしたいな。

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