地方公立高校の休校対策 VOL.9 動画配信が軌道に乗るまでの道程 後編
授業デモ動画配信スタート!
4月17日(金)
・時間割通りの授業動画デモ配信スタート。音が聞こえない動画があるなど多少のトラブルはあったが、ほとんどが順調に配信され、生徒や保護者から喜びの声が伝えられた。
・各時間の動画視聴のあと、Googleクラスルームで完了を押す、という指示が徹底されていなかったことが判明。各クラスのGoogleフォームで、動画を視聴後に完了を押すように通知。
・最後にグーグルフォームで視聴状況をアンケート
→ 全く視聴できなかった生徒が1000人中20名程度いることを把握。
※臨時休校が5月10日まで伸びることが決定される。
20日月曜日から教員半分の在宅勤務が決定。
「また、突然決まったなー。準備していたことを大急ぎで実行しないと」
と再び焦りながら対策。
在宅勤務の準備
・戸田さんにGoogleフォームを使った「在宅勤務時の出退勤記録フォーム」を作成してもらう。デジタル職員室にリンクを貼る。
出勤、退勤時間が管理職のところにスプレッドシートを使って自動に集約されるようになる。
・希望職員に在宅でも動画作成ができるように学校所有のiPadを貸し出し。
(以前から30名程度の教員には配布済。今回でほぼ全員に配布することができた。)
・配信がスタートしたことで、職員室中のiPadから通知音が鳴り響く。通知音を切るマニュアルなどを紙とクラスルームで配布。
小さなトラブルが次々と現れるので、その都度マニュアルが蓄積。
4月20日(月)
教員半分の在宅勤務スタート。出退勤記録フォーム、順調に稼働。
・職員は動画の作成に没頭。研修課職員と戸田さんは一日中質問責めにあう。
・17日に全く視聴できなかった20名程度の生徒の存在を担任に伝え、電話で確認。
・Googleアカウントのパスワード忘れは県教委にパスワードのリセットを申請。
・動画配信は順調に行われる。
・最後のGoogleフォームでのアンケートを行う。アンケートの返信も順調。授業動画視聴後に完了を押すことも徐々に浸透。
4月21日(火)
在宅勤務2日目 動画配信3日目 デモ動画期間最終日
職員室の雰囲気も非常に落ち着く。
・動画作成も余裕が生まれてきたように感じる。
在宅でも、動画作成も、動画配信も出退勤記録も、朝の打ち合わせの情報確認もすべてオンライン上で行われるようになり、不安や問題が解消された。
・配信にトラブルがあった一部の教科も、工夫によりトラブルが減っている。
・前日のアンケートで動画を全て見られなかった生徒が、この日は10名に減少。Googleアカウントのパスワード忘れがほとんどのため、県教委のパスワードリセットの完了を待つ。夕方にはリセット完了。
・この日は戸田さんにも特に大きな質問もなかった。
・動画配信のクオリティーはますます上がり、Adobe PremiereやiMovie、などの動画編集ソフトを使う教員が増えた。
4月22日(水) 在宅勤務3日目 本来2・3年生の登校日が設定されていたため動画配信は1年生のみ。
前日に動画が見られなかった10名の生徒にパスワードがリセットされたことを電話連絡。→ 改善。ほぼ全員が見られるようになる。
午後から総合的探究活動で予定されていた「副市長と生徒のZoomでディスカッション」を撮影。編集しデジタル職員室で教員に共有。
これを総合的探究の時間に配信予定。
休校中も探究的な学習の時間を進めていけるような可能性を感じました。
翌日の23日から2・3年の動画配信が本格的に始まる予定。(長めの動画が配信される)16:00までの配信予約の約束だが、教務チェックで2件忘れていることが判明。デジタル職員室で呼びかけるとすぐに改善。
本日は1年だけの授業配信で、一日の最後の Googleフォームは1年生だけの返信であったが、全員動画を見られていた。
登校日が先に伸びたため、24日までであった戸田さんのヘルプを管理職にお願いして28日までに延長。(合計12日間に延長)
本格動画配信スタート!
4月23日(木)1年生登校日
・放課後、動画配信で不安な生徒の相談に乗る。
(研修課職員、戸田さんで対応。)
大きなトラブルの相談はなく、安心。
ところが・・・
一人だけ謎のトラブルが!
配信されたPDFがみられない!
調べてみると以前送られた他のPDFはみられる。
なぜだ!
その時、戸田さんが解決してくださいました!
「ひょっとしてみられないPDFのファイル名に記号があるのでは?」
たしかにファイルには ① という記号が。
これを直したら見事みられるようになりました。
「①やスペース」など記号が入っているとみられない場合があることを急いで先生方に伝達。
またまた共有したマニュアルが増えました。
※本格的に動画授業配信開始(2・3年)。
その日の最後のアンケートで、大きな問題はなく皆んなみることができたようで安心しました。
4月24日
本格的な動画授業を配信(1年)
アンケートをみると大きなトラブルなし。一安心。
大切にしたいこと
話はかわりますが、前任校まで長い間バレーボールの指導をしていました。
その時に生徒によく話したこと。
バレーボールは一人でもミスをしたら負けるスポーツです。
ですから多くの選手はレシーブする瞬間やトスを上げる瞬間に注目し、その一瞬に全神経を集中します。
しかし実は最も大切なポイントは他にある、と私は教えていました。
それは・・・
自分のレシーブからセッターへの軌道をイメージすること。
レシーバーからセッターへ
セッターからスパイカーへ
スパイカーは得点する瞬間へ
すべての選手が、点よりも線をイメージすることで、最終的に得点するところまで確実につないでいけるのです。
・・・
さて、本校もなんとか時間割通りの授業動画配信が軌道にのりました。
次のステップは、生徒の心のケアやクラスの人間関係作り、探究的な学習を進めること、LHR、部活動など。たくさんのポイントがあります。
しかし本当に大切なのはそのような点だけではなく、最終的な生徒の学びへ到達へと至る過程を意識することなのではないかと思っています。
今回の新型コロナウィルスの世界的な流行。
我々教員はWith コロナの時代の教育をどのように考えていくのか。
この未曾有の危機を乗り越えるために、最終的な生徒の学びの形を学校全体で、そして学校内外の多くの仲間と考えていきたいと思います。
そしてAfterコロナの時代の新しい教育を作り出していきたいと思います。