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困った人間関係にもマインドフルネスを活用する

こんにちは。北海道マインドフルネスセンターのしほです。

先日、札幌市内の小学校の保護者向けに「家庭教育学級」の講座として、マインドフルネスについてお伝えしました。
タイトルは
『「困った!」を「なんとかなる」に変えるコツ~マインドフルネスの視点から~』

前半は基本的なマインドフルネスについて説明し、その後短い瞑想を体験して、後半は具体的にマインドフルネスがどのように活用できそうかということをお話しして、マインドフルムーブメント(動く瞑想)を体験しました。
私自身の話も織り交ぜたりして、あっという間の2時間でした。

その中で、人間関係に関する質問が出ました。
その時に思いつくことをいくつかお話ししましたが、大事なことをお伝えし忘れてしまったなと思って、皆さんにも知っていただきたくて、ここに書いていきたいと思います。


「弁証法的行動療法」

私がマインドフルネス関連で色々学んだことの中に、「弁証法的行動療法Dialectical Behavior Therapy:DBTというものがあります。
これは、マーシャリネハンによって境界性パーソナリティー障害のために作られたもので、様々なスキルを学ぶことが出来て、その中に「マインドフルネススキル」もあります。
DBTは海外では普及しているのですが、半年1クールで多職種で行うこのプログラム、日本ではほとんど行われていません。

マーシャリネハン氏(写真お借りしました)ご本人もBPDだった。

しかしながら、私としては、境界性パーソナリティー障害だけでなく、様々な疾患の方にも有効だと思いますし、基本的な考え方としてはどんな人にも当てはまると思うのです。
なのでちょっとご紹介したいと思います。


「Wise Mind=賢い心・中道=うまくやっていく」

弁証法的行動療法の基本的な目標というのが「うまくやっていく」ということ。どちらかに偏りすぎない、という感じです。

合理的な心(Reasonable Mind):理性的で論理的で、空気を読めるしルールに忠実でしっかりしている感じ。
特に日本人にとってはとても大事な要素ではありますが、ちょっと冷たいイメージがあるし、あまりにもいきすぎてしまうと「~ねばならない」「~するべき」と硬くなってちょっと苦しくなりそうだし、空気を読みすぎると自分の本当の気持ちも言えなかったりして、自分なんてどうでもいい・自分をないがしろにしてしまったりして、自己否定にもつながりかねません。
行き過ぎはよくありませんね。

感情的な心(Emotion Mind):自分自身の気持ちに正直になって、ありのままの感情を大切にする。
これもとても大切な要素ではありますが、あまりにも感情的になってしまって表現もきつくなってしまうと、自分は言いたいことが言えてスッキリするかもしれないけど、周りの人はびっくりしてしまって、みんな離れていってしまうかもしれません。
こちらも行き過ぎはよくありませんね。

賢い心・中道(Wise Mind):合理的な心と感情的な心、どちらもある。
どちらかに偏るわけでもなく、両方あって、ちょうどよく、うまくやっていく。
下の絵の、円の色が重なったところが「ワイズマインド」です。

中道・ワイズマインド

「ちょうどよく、うまくやっていく」
って、言葉では簡単だけど、その場のその状況でバランスを考えながら加減していくものだろうし、実際にどうやっていくかは、なかなか難しいところですね。


人間関係も「うまくやっていく」

弁証法的行動療法で学ぶスキルの中に『効果的な対人関係スキル』というものがあるのですが、「効果的な」とは「うまくやっていく」ということです。

ちょっと嫌な人とのやりとりも、感情的になりすぎず、「今は~すべき」と我慢しすぎず、うまくやっていくことがとても大事です。

例えば
『苦手な人から頼まれごとをした』としましょうか。

感情的に怒鳴ってしまえば、その人との関係だけでなくその周辺の人たちとはもうやり取りできなくなってしまうだろうし、
やりたくないのに「良いよ」と言ってしまったら、モヤモヤとした気持ちを引きずりながら頼まれごとをこなすことになりそうです。

ワイズマインドで中道を行くようにすると
穏やかな態度で「マインドフルに」相手の話を聞いて、
一旦相手の気持ちを受け止めつつ
自分自身の身体の感覚や思考や感情を客観的に観察してみて
(ほんとうはやりたくない)という気持ちが見えてきたら
「やってあげたいのは山々なんだけど、ちょっと今余裕がなくてやれそうにないんだ」など言うと、やんわり断ることができるかもしれませんね。
(例えば、の話なので、その時の状況でまた違ってくると思います)


その他のプログラムでも

ご存じかもしれませんが「アサーティブコミュニケーション」に似ていますね。
これは、自分だけが主張するのではなく、かつ相手の主張に飲み込まれず、「自分も相手もOK」で、その中で自分の主張もしていく、という感じです。お互いアサーティブに話ができると、円滑に話が進みそうですね。

実は、「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」でも、対人関係についてテーマにする回があります。
相手からの言動で、自分はどのように思考し行動しているのか、改めて振り返ります。

もしうまくいかなくても

そうはいっても相手や状況でなかなか難しかったりしますよね。
そんな時は自分自身を責めることなく、誰かに相談したり、「色々頑張ってるよね、私」と自分を受け入れて、自分自身を癒してあげましょうね。




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