昆布はどこからどこへ行く。②真昆布
こんにちは。
きょうは、道南の真昆布のお話です。
昆布、に真(しん)がつくんですよ。
真の昆布、ということですね。自信と誇りを感じます。
それもそのはず。
献上昆布なんです。(天皇陛下に献上する昆布)
献上されたのは、名前がついた後ですけどね。
日本料理の中で、選びに選び抜かれた昆布なのです。
江戸時代には、最終目的地大坂まで大事に運ばれたのです。
幅も広く、見た目にも立派な真昆布が、経済的な力のあった人たちに好まれたのは想像に難くありません。
ほのかに感じる甘さ、上品な味わいも、見た目以上に特別感があり、真昆布というブランドが成立することにつながったのではないでしょうか。
(日本昆布協会HP こんぶネットより)
そして真昆布は、北前船(きたまえぶね)の終着地で出発地の大都会で水の都、食材は里から海から集まってくる、そんな大阪で大大大人気を博しました~。
大阪人がいう「まったりした味」を作る出汁に欠かせないものです。
大阪のうどん、おいしいですよね。あの出汁ですよ。
真昆布じゃなきゃあ、あの味は出なかったのです。
そして、大阪人ですから、使い倒します。
どうやって、無駄なく使うか、しかもおいしく。
食の都の人たちの知恵と意地、といっていいでしょうか?
佃煮、塩昆布、そしておぼろ昆布!!加工法も洗練されていきます。
おぼろ昆布は一枚を削ります。もともとは、運ぶ途中でカビが生えてしまった昆布をどう使うか、から考え出された加工法だったそうです。
この職人さんは堺に工房がある、戎橋をぐら屋さんの三田さんです。
堺の町は、なんと5世紀ころから打刃物が盛んでした。たばこ包丁は、昆布をけずる包丁とちょっと形が似ています。
土地の産業と北海道からの昆布が出会い、数世紀を超えて続いている技術です。
2年間海が育んだ天然昆布を半世紀にわたって触り続けた三田さんは、誇らしげに白口浜の天然昆布を語りました。
そんな昆布なのに、近年、とても悲しい出来事が起こりました。
天然の白口浜の昆布が採れなくなってしまったのです。
なんということでしょう。
近年の北海道の夏は今までと違います。
さわやかにカラッと、涼しく晴れが続いた「いつもの夏」はどこへいったの?
じわじわ寒くて天気が悪い7月だった一昨年、
今年は「北海道はどこへ行った???」と思うような暑さです。
昆布はデリケートな生き物です。
同じ浜でさえ、100メートル離れた場所なら味が違うものが採れます。まるでワインのぶどうです。
冷たい海で、暖流と寒流がぶつかるところを好みます。
そして、周りの陸、山からの栄養が必要です。
こんな気候が続いたら、いくら海が豊かで自浄できるとはいっても、
そろそろ悲鳴を上げているのではないだろうか。
昆布はわたしたちに見えるところにいて、
「今ならギリギリ間に合うよ!海の中の森を守ってよ!環境を壊さないで!」って
わたしたちに言っているように思えてならないのです。
(昆布は2年で命を終えますから、2年目を取り過ぎるということはありません。)
昆布産地より沖ですが、函館の海です。北前船の人々は、こんな風景にココロを踊らせただろうなぁと、撮影しました。
タイトル写真は、函館ひろめ堂株式会社の成田さんにお借りしました。
ひろめ堂さんのHPを見ると、調味料へのこだわりにひれ伏します。函館の底力を感じます。
真昆布の特徴は、こちらへ。