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否定好きな利用者に否定される新人保健師黒井

今日は優作さんのお話。
優作さんの担当になったのはまだ黒井が新人だったころだった。

優作さんは、大企業の出身。
とても真面目な性格で、何事も事細かに把握したいタイプ。
(しかも現役時代、役職を持っていたことが誇りらしく、「自分は他の人より偉いしすごいんだぞ」と思っているタイプ。)
現在夫婦二人で暮らしている。
奥様はおおらかなタイプで、「そんな細かいことばかり気にして!」といつも言う。

優作さんは80歳を超えても老眼知らず。毎日起きたらすぐ新聞を読むのが日課。
訪問すると、優作さんは必ずその日の新聞の内容を聞いてくる。
「今朝の新聞に〇〇という記事があったが、黒井さんはどう思うか?」
こう聞かれるのが本当に嫌だ。なぜ知っている前提で話してくるのか。
言い訳でしかないけれど、子育てに家事にバタバタしている黒井はニュースを見る間もないのが現状。
「そんなニュースあったんですね!優作さんはどう思ったんですか?」と正直に返答する。

優作さんは黒井が知っているかどうかは気にも留めず、ニュースについての話をし始める。
大抵、途中から「今の世の中はいかん、若い人はいかん」と大きな話になり、口調も熱くなっていく。
ちょっとヒートアップしてきたな、もうそろそろ帰ろうかな、と話を切り上げようとすると怒られる。
「それがあんた仕事の態度か。そんなのでいいのか。」と。
あなたに何が分かるのですか?そもそも私の役割をあなたはちゃんとわかっててこの話振ってるんですか?
と内心イラっとする黒井。
「すみませんね。優作さんだけの担当ではないので。次の方の訪問の時間なので失礼しますね」
と笑顔でそそくさと退散する。
こんな感じの対応だったので、多分、優作さんは黒井のことが好きではなかったと思う。
黒井も苦手な利用者さんの一人だった。

そんな優作さん、デイサービスを利用していた。
比較的デイサービスは好きな様子だけれど、気に入らないことがあればすぐに包括に連絡がきた。
「職員の〇〇さんのこういう態度が良くない。なんとかすべきだ。」
「利用者の△△さん。いつも嫌なことを言ってくる。なんとかすべきではないか。」
といった具合。
優作さんの要望の中には、対応できないこともある。しかし、そのことを伝えると「こんなにおかしいのになぜだ。なんとかするのがあんたの仕事ではないか」と言われた。若干カスタマーハラスメント気味。

まぁ今となっては良い経験の一つだと思う黒井であった。

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