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生命保険で100点満点を取る方法(2) ~生命保険は「時限爆弾」?~

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あなたは、自分の保険に自信を持てますか?
あなたの保険が100点満点をとるための考え方を、何回かに分けて紹介していきます。今回はその2回目。
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「保険はどこで入っても同じ」と考えていませんか? 
それは100%勘違いです。加入する生命保険の違いによって、結果は大きく変わります。実際の事例で確認しましょう。


▶保険はどこで入っても同じ?

セールスには「断り」がつきものです。
生命保険の代表的な「断り文句」、2つあります。
 
「保険はもう入ってるから、いらない」
「つきあいで保険に入ってるから、断れない」
 
保険を売る立場としては、「そうはおっしゃいますが…」と言いたいところですが、お客様の言い分もよくわかります。冷蔵庫や電子レンジといった家電製品であれば、すでに持っているものはいりません。買い替えるときも、同じ商品なら知り合いから買うというのも理解はできます。お客様の「断り文句」は、理不尽なものではなく、ごもっともな発言だと思います。
 
では、家電製品と生命保険は同じように考えてよいのでしょうか。冷蔵庫や電子レンジは、同じ商品なら、どこで買っても、誰から買っても、機能は同じです。同じ商品なのに、A店とB店で機能が違うとか、販売員が違うと機能が違うなんてことはありません。機能が同じならば、値段が安い方がよいと考えるのが自然なので、ネットで買う人が増えているというわけです。
 
つまり、この考え方には「同じ商品であれば、機能は同じ」という前提があります。お客様が「もう入っているから」とか「つきあいがある」と断るのは、「保険はどこで入っても同じ」という前提があるからです。
 
本当にそうなのでしょうか?
ひとりのお客様の例で考えてみましょう。

▶塩野さんのこと

塩野さんと初めて会ったのは、20年以上前のことです。友人の紹介で知り合いました。塩野さんは、当時40歳代、独身の男性です。保険への加入を考えていました。はじめてお会いしたときに、塩野さんのご希望を聞かせていただき、二回目に具体的な保険プランの提案をすることになりました。
 
当時、独身者の方向けの保険としては、以下のような組み合わせが一般的でした。

独身者向けの一般的な保険(当時)

独身のときは、亡くなったときに大きなお金を残す必要はないので、葬式代の準備と老後資金への備えを兼ねて「終身保険」をすすめます。また、病気やケガに全般的に備える「医療保険」、がんの保障を手厚くするための「がん保険」をすすめます。
 
塩野さんは、ご家族に「がん」になった方がいたので、特に「がん」の保障が気になっているように感じました。そのお話をもとに、私が実際に提案したのは、以下のプランです。

塩野さんに提案した保険

 「終身保険」は提案せず、掛け捨てタイプの「特定疾病保障保険」をメインに提案しました。当時、この保険はそれほど一般的なものではなく、扱っている会社が限られていました(私の会社では扱っていました)。しかし、塩野さんにとってはベストな選択だと、私は考えました。従来の「がん保険」に疑問を感じていたからです。
 
2回目に会ったとき、このプランを塩野さんに説明しました。塩野さんは大変喜んでくれて、「こういうのが欲しかったんだ」とおっしゃいました。商談は10分ほどで終わりました。私の最短記録です。
 
このプランがよかったのか、そうではなかったのか?
答え合わせをする機会は、意外に早く訪れました。

▶保険の答え合わせ

保険の契約から2年たったある日の午後、塩野さんから電話がありました。
塩野さん「今日の夜、会えますか?」
私「もちろんです。いつもの場所でいいですか?」
 
青山一丁目にあるホテルのロビーで、塩野さんはその日のできごとを話し始めました。医者から「がん」と告げられたこと。誰かに話を聞いてもらいたくて、電話したこと。私は何も言えませんでした。
 
不幸中の幸いというか、すぐに命に関わるといったことはなさそうでした。しかし、ひとつ問題がありました。がんの場所です。
 
「副鼻腔(ふくびくう)」という、鼻の奥にがんが見つかったのです。脳に近い場所なので、外科的な手術はできません。放射線でがんを小さくします。放射線治療は体に負担のかかる治療ですが、入院はせずに、通院で治療します。
 
さて、塩野さんは、いくら保険金を受け取ることができるでしょうか?
「一般的な保険」の場合と、「塩野さんが実際に加入した保険」で比較してみましょう(※当時の保障内容をもとにしています)。
 
【一般的な保険】
①医療保険(手術給付金) 10万円
②がん保険(手術給付金) 10万円
合計 20万円
 
【実際の保険】
①特定疾病保障保険(診断給付金) 500万円
②医療保険(手術給付金)      10万円
③診断給付金特約(診断給付金)  100万円
合計 610万円
 
塩野さんは入院していないので、入院給付金はもらえません。放射線の治療は「手術」とみなされるので、手術給付金は受け取れます。一般的な保険の場合、受け取れるのは、この手術給付金のみです。一方、実際に加入した保険では、がんと診断されたことによる「診断給付金」を受け取れます。金額の違いは、診断給付金のあるなしによるものです。
 
どのような治療をしたのかによって、保険金の出る出ないが決まるのは、使い勝手がよくありません。どのような治療をするのかはお客様の選択です。私はそのように考え、治療方法に関わらず、がんと診断されれば保険金を受け取れる「診断給付金」を提案しました。
 
結果は、20万円と610万円、その差590万円です。
同じ保険といっても、内容によって、これだけ多くの違いが生じます。

▶いろいろな可能性を考えて準備すること

塩野さんにはよい結果になりました。通院治療だったこともあり、治療費はそれほどかかりませんでした。保険金はほとんど手元に残りました。塩野さんは保険金を「人生を前向きに生きるため」に使います。大切な友人にあうためにベルギーに旅行したり、趣味の腕時計を買ったりしました。「保険金にはこんな使い道があるのか」と、私も感心させられました。塩野さんは、いまも元気に、毎日を楽しく過ごしています。
 
「この結果はたまたまではないのか」と考える方もいることでしょう。
そうなのかも知れません。保険に入るときは、将来どんなことが起きるかは、誰にも予想できません。違ったことが起きれば、一般的な保険のほうがよかったという結果になるかも知れません。
 
それでも、一つだけ確かなことがあります。
従来の考えに基づいた保険に加入していたとしたら、塩野さんはこれだけの保険金を受け取ることはできなかったという事実です。従来の考えから離れて、塩野さんに本当に役に立つプランを考えたからこそ、このような結果になりました。「みんながそうだから、私もそうする」では、本当に役立つ保険に出会うことはできません。
 
未来は予測できません。それでも、いろいろな可能性を考えて、準備をすることはできます。その準備がどこまでできるのかが、生命保険においては重要です。生命保険と一口に言っても、実際にはさまざまな保険の種類があり、組み合わせも無限にあります。「保険はどこで入っても、誰から入っても同じ」なんてことは、ありません。誰といっしょに保険を作り上げるかは、生命保険を考える上で、いちばん大切なことだと思います。AIには、まだできない仕事だと思います。

▶生命保険は「時限爆弾」?

がんが発見されたことで、塩野さんは自分の保険の「答え合わせ」ができました。塩野さんの保険の点数をつければ、100点満点です。ただ、このようにはっきりと「答え合わせ」ができるケースは多くありません。確率的にいえば、若い間は病気をせず、健康な人が多いからです。
 
上の2つの図を、もう一度見比べてください。ずっと健康であれば、保険金は支払われません。その意味で、2つとも効果は同じです。一般的な保険は終身保険にお金がたまっているので、よいと言えるかも知れません(その点を強調するセールスマンも多いです)。しかし、実際のところは、どうなるかはわかりません。何も起きないかも知れないし、起きるかも知れない。そして、実際に起きてしまったら、そこからできることはありません。病気になってから、保険を取り換えることはできませんから。
 
もし的外れな保険に入っていたとしたら、生命保険は「時限爆弾」のようなものです。爆弾が爆発したら、どうすることもできません。気づいたときは、「後の祭り」です。よかれと思って加入した保険が爆弾なのはたまりません。生命保険は「エアバッグ」のように、いざというときに助けくれるものです。いま加入している保険がエアバックとして働くのか、ぜひ再確認してみてください。
 

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