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2024年末のご挨拶。ラディカル増刷と保苅実記念奨学基金の報告。
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皆様
2024年も終わろうとしています。今年は春と秋に訪日し、大勢の方たちとの出会いと再会に溢れた充実した滞在となったことは、ご報告したとおりです。
第4刷のときと同じく、岩波書店の渕上さんと電話でお話した直後に、第5刷が決まったとの連絡をいただきました。今回も800部。御茶の水書房版の4500部と合わせて、これで合計11,700部となり、20年かけて「ラディカル」がそれだけの数の読者と出会ったことになります。ちょっ考えてみると、第4刷800部からちょうど1年後にまた800部ということは、この一年で毎日2部ずつ売れたことになりますね。
そして、今年は著作集「BOOK1: 生命あふれる大地」「BOOK2:アンチ・マイノリティ・ヒストリー」(図書出版みぎわ)も無事に刊行することができました。最後の一冊の編集作業も現在進行中です。
また、図書出版みぎわのウェブサイトで、御茶の水書房版「ラディカル・オーラル・ヒストリー」、訳書「生命の大地」「ホワイト・ネイション」、保苅実写真集も販売していますので、ご利用ください。
2023年のオーストラリア国立大学・保苅実記念奨学金の受賞者は、Kath Ampa Penangke Travisさんです。Arrernteの彼女は、Stolen Generationsの生き残りでもあり、家族の歴史に存在するギャップをテーマに、インタビューによるオーラル・ヒストリー研究をしています。この奨学金を助けに、4人のFirst Nationsの仲間といっしょにHARTS Community Networkという、オーストラリア政府の政策により家族から引きはなされた人たちと、その家族の歴史を見つけていく手助けをする非営利団体を設立します。
「ミノのことを学ぶ中で、彼にとって『つながっている』ことがいかに大切だったかを知りました。私のプロジェクトは、個人だけではなく家族がつながること、アイデンティティと帰属意識をベースに、First Namtionsの女性と家族の、健康と福祉の向上を目指すことで、ミノに敬意を表したいと思っています。」
ANUの保苅実記念奨学基金は、2023年年末の残高 A$191,887.55に、UNSWインターナショナルハウスから動かした A$92,796と合わせて、昨年末より運用され始めました。先日のニュースレター(九大シンポジウムでのスピーチ)でご報告したとおり、保苅実記念基金と名前を変え、準備が整い次第、このフィールドワーク奨学金(A$6,000) と先住民言語プログラム奨学金(A$4,000)の二つを助成します。
また、先日は、写真展図録販売収入、日本の皆さんから集まった寄付、Nimara & Japarta (NimaraはJapartaの姉妹)というレーベルで販売している私のニットデザインの編み図収入と合わせて、US$2,000(A$3,100 )を寄付しました。Nimara & JapartaからはこれまでにUS$12,600(約A$20,000)を寄付してきました。
ミノルが亡くなった2004年に設立されたこの基金は、A$127,000集まれば、毎年5千ドルを永遠に支給できると言われていました。その目標金額に向けて寄付を集め、2016年9月に$129,841.74を達成して以来、順調に大きくなってきました。規模は大きくないですが、ANUでは古株の存在です。
皆さん、ミノルとつながっててくれて、どうもありがとう。どうぞよいお年をお迎えください。
保苅由紀
保苅実とつながる会