20210414
繁華街の騒音の中に消えていくきみを見ていた、きみが他人になっていく過程を、1秒1秒感じなくてはならなかった。繁華街のオレンジ色のチカチカときみの服の色が混じって、やがてきみが繁華街の1分に飲み込まれていくのを、きみの冷たい灰色の背中を、霞む視界の中、見失わないように見ていた
もう二度と、すれ違うことも言葉を交わすこともない。駅ですれ違った人がきみに似ていて、そんな訳ないのに、大井町にきみが居るはずないのに、追いかけた
雨の音がきみの笑い声に聞こえる。風がきみの仕草に見えて、陽の光はきみの瞳に見える
雨がぼくを包み込んで老衰のようにぼくを眠りに誘う。夢で、きみに会えるかも知れない、もうこの世のどこにもいないきみに、夢で会いにいくんだ。雨の夜道を割く、車のライトが眩しい。
来世は、きみの頬を掠める五月の柔らかい風になって、会いに行くね
だから、だから、どうか待っていて