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保育園入園までに断乳しておく必要はあるの?

保育士さんに断乳を勧められることはある?

そろそろ育休も終了!母乳育児をしてきた職場復帰目前のママたちが抱く「断乳」の疑問。保育園に入園する前に断乳は必要なのでしょうか。保育園園長経験者の筆者がまとめてみました。

1.「断乳」とは?
2.断乳のメリット
3.断乳のデメリット
4.保育園の対応
5.断乳成功エピソード
6.断乳失敗エピソード
7.まとめ

1.「断乳」とは?


「断乳」とはママ主体で授乳をやめることをいいます。似たような言葉に「卒乳」がありますが、こちらは子どもが自ら母乳を必要としなくなることを指します。できるだけ自然な流れで授乳を断つことえをを断乳することを「計画的卒乳」と呼ぶこともあります。

2.断乳のメリット


断乳することで得られる大きなメリットの一つに、夜間授乳の必要がなくなることが挙げられます。「夜通し眠りたい」というママの想いが断乳のきっかけになることも多いです。特に、職場復帰を予定しているママにとって睡眠不足は大問題。自身の体調不良はもちろん、精神状態にも影響を及ぼします。
子どもにとっても中途覚醒することなく眠ることは、日中に眠気が襲うこと無く、保育園での主活動中に支障をきたすことの無い生活リズムを手に入れることができます。
また、母乳でお腹が満たされることがなくなるので、食事量が増え、食生活のリズムも整うお子さんもよく見られますね。
保健の観点からは、虫歯リスクの低下が挙げられます。
授乳自体に虫歯リスクはありませんが、口の中の汚れを洗い流す役目のある「唾液」が寝ている間は減少します。母乳に含まれる糖質が歯垢にくっつくことで虫歯になりやすいため、寝る前にしっかり歯垢を落とし、それ以降、糖質(母乳)を摂取しないことで虫歯リスクは低下します。

3.断乳のデメリット


一方で断乳にはデメリットもあります。母乳がよく出ているママの問題としては乳腺炎などのトラブルがあります。長時間授乳しない場合に、乳房が張って痛みが出るなどのリスク回避のためには、搾乳をしたり、母乳外来や産婦人科で相談をして計画的に勧めることが必要です。
また、断乳をしなかったというママからは、「おっぱいを欲しがる子どもの泣き顔をみるのが辛すぎる」というデメリットが挙げられました。夜間、おっぱいを欲しがる我が子を抱っこであやすのは、ママの心と体のダメージも少なくありませんよね。これまで当たり前だったスキンシップが一つ減ってしまうと思うと少し寂しく感じるものもあります。

4.保育園の対応


基本的に、保育園から園児の断乳時期について指示があることはありません。ですので、何歳まで授乳していても特に問題はないですし、入園前に必ず断乳しなければいけないこともありません。ただし、「1歳半検診で虫歯を指摘された」「母乳以外の水分を全く摂らない」「夜しっかり眠れていないため、日中眠くて活動に参加できない」など園児の健康や成長を脅かす事態があれば、面談や連絡帳を利用して、家庭での様子をヒアリングさせていただくこともあります。
筆者が園長時代は、園生活に支障がなければ家庭でどれだけ授乳していようと特に指摘はしませんでした。しかし、園では「おっぱいを飲む」という家庭での習慣が行えないため、「不快」な時間が多くなってしまうという事態は生じます。例えば、園生活に慣れるまで時間がかかってしまいがちなお子さんの家庭では、眠るときにも授乳が必要だったりと、全く断乳していないというケースが多く見受けられます。そういった点では、麦茶をコップでゴクゴク飲めたり、食べることが好きで給食時間を楽しめたり、園庭や公園で体を動かすことで「快」の時間が得られるお子さんは馴染みやすいといえます。

5.断乳成功エピソード


半年後に職場復帰を控えたAさんは、「夜間の頻回授乳が辛い」ということで、息子さんが1歳1ヶ月のときに断乳を決意しました。何の知識も情報もなかったけれど、「とにかく欲しがっても拒否する」ということを徹底したそう。初めの3日間は、別の部屋で眠っていたパパが驚いて起きてくるほど泣き叫んだといいます。泣いたら抱っこしたり、白湯をあげることで少しずつ泣く時間が短くなり、起きる回数も減った息子さん。「4日目の朝。一度も起きることなくぐっすり眠れ、感動して嬉し泣きしました」と話してくださいました。日中はまだ欲しがることがあるそうですが、公園でたくさん遊ぶようになったり、食事をしっかり食べるようになったりしたためか、授乳回数や時間がかなり減ったとのことです。

6.断乳失敗エピソード


「自分が仕事に慣れて、娘が1歳になったタイミングで断乳しようと思っていたのですが・・・難しかったです」と話してくださったのは娘さんが11ヶ月のときに職場復帰したBさん。「5歳のお兄ちゃんのときは、保育園に入ったら自然と卒乳したんです。だから娘も簡単にやめられると思っていました」といいます。大型連休に合わせてパパと協力をし、夜間断乳することから挑戦したそうですが、すでに職場復帰していたBさんは慢性的な睡眠不足や家事と仕事の両立で疲労困憊。根負けして添い乳してしまうことが続いてしまい、諦めることにしたとのこと。「保育園では元気に過ごしているし、食事もしっかり食べれていて、ミルクもいらないと先生から聞いています。正直、睡眠不足はつらいけど、安定剤代わりだと思って卒乳を待つことにしました」と晴れ晴れした表情でお話してくださいました。

7.まとめ


結論、断乳時期に正解はありません。お子さんはもちろん、ご家庭の状況によってもベストタイミングが異なるからです。今回、お話を伺ってみて「1歳になったから」「保育園が決まったから」という誰かの前例ではなく、目の前のお子さんと、育児する保護者の方にとって何が最善かを見極めることが重要だと感じました。親子そろって、「快」でいられる時間を重視することが納得のいく選択をするヒントになりそうです。

ライター:藤森みずほ

元小児科ナースで保育園園長の経験者。現役の看護師・保育士として働きながら、笑顔で働き続けたい女性のためのキャリアコーチとしても活動中。1歳児の母。https://note.mu/mzh_2018 https://www.instaguram.com/miuho.fujimori


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