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【2024年10月】保育NEWS7選・まとめ&解説

保育に関する重要ニュースをまとめました。

・保育に関するニュースは興味あるけど…時間がない。
・ネットで調べるのも大変。
・記事を読んでもよくわからない。

そんな方のために、保育に関するニュースをまとめました。これを見ておけば、最新の保育ニュースは一通りチェックすることができます。内容は保育関係者向けですが、子育ては保育園と一緒におこなっていきます。
子育て中の方や学校関係者の方なども学びがあると思いますよ。ぜひ、ご覧ください!

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。


幼児教育在り方検討会、最終報告案を了承(文科省)

今後の幼児教育の教育課程や指導、評価の在り方を議論する文部科学省の有識者検討会(座長=無藤隆白梅学園大名誉教授)は9月20日、検討すべき課題や、幼児教育の充実に必要な条件整備などを盛り込んだ最終報告案を大筋で了承した。

2024年10月2日 福祉新聞

文部科学省の有識者検討会により、「幼児教育在り方検討会」の最終報告案が出されました。これは今後の幼児教育の方向性を決める会議ですので、幼児教育に関わる人はチェックしておきたいですね。

最終案をざっくりとまとめると、以下のようになります。

幼児教育の基本
幼児教育では、幼稚園教諭・保育士・保育教諭等がその専門性を発揮して、幼児が思わず関わりたくなるような魅力的な環境を意図的・計画的に構成し、幼児が主体性を十分に発揮しながらその環境に関わる遊びや生活を展開することにより幼児の発達を促すという「環境を通して行う教育」が基本。

『今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の 在り方に関する有識者検討会 最終報告』

これからの幼児教育で大切なこと
(1)身体の諸感覚を通した豊かな体験
(2)自発的な活動としての遊び
(3)幼児教育において育みたい資質・能力
(「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」)
(4)幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
(5)幼児理解に基づいた評価

『今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の 在り方に関する有識者検討会 最終報告』

これらの事を事細かく説明できませんが、大人が子どもに教えるのではなく、環境を通して子どもが主体的に学ぶことが特に強調されているのがわかります。

保育業界ではずっと言われ続けており、環境を通して保育をおこなう園もおおくなっています。現在の子育て家庭や、これから子育てが始まる家庭などにわかりやすく伝わるといいんですけれどね。

詳細を知りたい方はコチラからご覧ください。

このnoteでも、いつか解説記事を書きたいと思います!


40代保育士が園児に平手打ち、鼻から出血 遊戯の指導中「指示がうまく伝わらず、かっとなった」 鹿屋市の認定こども園

 鹿児島県鹿屋市の認定こども園で9月下旬、40代女性保育士が男児(5)の顔をたたく不適切行為をしていたことが7日、分かった。園を運営する社会福祉法人は「あってはならないことで、男児や保護者に申し訳ない」としている。
 園によると、保育士は9月28日、担当するクラスでお遊戯指導中、指示通りにできなかった男児に平手打ちをした。周囲が男児が鼻から出血しているのに気付き、保育士が止血した。帰宅後に男児から話を聞いた両親が30日、園に問い合わせ発覚した。

2024年10月08日 南日本新聞

保育士による園児への暴行事件が起きてしまいました。にわかには信じがたい内容ですね…。保育所保育指針にはこのような記載があります。

『子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となる。』

保育所保育指針5章より

「指示が通らなかったから平手打ちした」というのは、児童の人権に配慮できているとは到底言えません。

先ほどの幼児教育の在り方検討会の記事についても、触れられていましたが、今後の幼児教育では「大人が教える(指示を出す)のではなく、子どもが主体的に動けるように大人が環境を整える」ことが重視されています。そうした保育をおこなうためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が必要になるのでしょう。

そうした理解を促すためには、園長のマネジメントが大事ですね。


MAMORIO、保育士が園児の位置を把握できる「ココニル」

 園児にビーコン付きの名札を装着し、保育士が所持するスマートフォンのアプリを通じて、園児がビーコンの電波が届く範囲にいるかを確認できるサービス。アプリ上には「いる子」エリアと「いない子」エリアがあり、園児が電波の届かない範囲に移動した場合は、アプリ上で「いない子」に表示される。アラームも鳴るため、保育士に対して速やかに通知される。
 点呼機能を搭載し、園児たちが何人いるのかを素早く数えられる。短時間で園児の安全確認を行なえ、業務の効率化にも繋がるとする。

2024年10月16日 Impress Watch

興味深いサービスの記事があったので、ご紹介します。園児の所在地をアプリで把握できるサービスです。点呼機能を備えているようで、素早く園児の人数把握ができるようになるそうです。

散歩先の公園で子どもを置き去りにしたり、所在がわからなくなるという事件は比較的頻繁に報道されています。散歩中の保育士の緊張感も高まっています。そのような中で、安全性の向上に繋がる可能性がありますね。

このアプリに頼りきるのではなく、あくまで目視で人数把握はするべきでしょうが、保険的な役割や心理的負担軽減には繋がるかもしれません。


中川李枝子さん死去、89歳 児童文学作家、「ぐりとぐら」

絵本「ぐりとぐら」シリーズなどで知られる児童文学作家の中川李枝子(なかがわ・りえこ)さんが14日、老衰のため東京都内の病院で死去した。89歳だった。札幌市出身。葬儀は近親者で営む。喪主は長男画太(かくた)さん。

2024年10月17日 時事通信

児童文学作家の中川李枝子さんが亡くなるニュースが入りました。有名な「ぐりとぐら」シリーズの作者の方ですね。保育園でも「ぐりとぐら」シリーズは子ども達に大人気ですので、本当に残念です。

園長コマツは『ぐりとぐらの1年間』のフレーズがとても好きでした。

「本はこどものたからもの おもしろくて たのしくて わくわくする はらはらする もういっぺん もういっぺん なんべんよんでもたいくつしない おまけに とてもかしこくなる」

『ぐりとぐらの1年間』

大人は知識を得るために本を読みますし、そのような気持ちで子どもにも絵本をすすめてしまいがちです。ただ、本来こどもにとって絵本とは「おもしろくて たのしくて わくわくする はらはらする」もの。かしこくなるのはあくまでオマケです。学びのための絵本ではなく、心を豊かにするために絵本を用意してあげたいな…と学びました。

せなけいこさん死去、92歳 絵本作家、「ねないこだれだ」

「ねないこだれだ」などで知られる絵本作家のせなけいこ(本名黒田恵子=くろだ・けいこ)さんが23日午後10時52分、老衰のため神奈川県逗子市の自宅で死去した。92歳だった。

2024年10月28日

中川さんに続き、「ねないこだれだ」などの作品で有名な絵本作家のせなけいこさんも亡くなりました。せなけいこさんの絵本は「おばけの天ぷら」「いやだいやだ」「くいしんぼううさぎ」など素敵な世界観で保育園でも大人気でした。

数々の素晴らしい作品を生み出してくれてありがとうございます。
お二人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


保育士「長時間保育の子は問題行動多い」が物議…キーワードは“親の罪悪感”“保育士の質”? 専門家と考える解決策

保育士のX投稿などをきっかけにSNS育問題」。
「子どもに寂しい思いをさせている」など否定的な意見がある一方、「子育て費用を捻出するために働かなくてはいけない」など、共働き家庭からは切実な実情が投稿された。


2024年10月22日  AbemaTimes

これは元の記事を読み、一度考えて頂きたいニュースですね。長時間保育について、保育士アカウントからの投稿が話題になりました。ざっくりとまとめると以下のような内容です。

保育士アカウントの主張
・『長時間保育はの子の保育は難しい』という認識は保育士では当たり前。
・長時間保育で子どもは疲れている。
・「長時間保育でも大丈夫」と楽観視しないで欲しい。

これに対して、子育て世帯や保育士アカウントなどで多くの意見が出されました。

・子育て費用を捻出するために働かなくてはいけない。
・そもそも日本の長時間労働に問題があるのではないか。
・保育士アカウントが保護者を責めるような投稿をするのはいかがなものか?

ここには書ききれませんが、本当に多くの意見がでました。

記事内にもありましたが、長時間保育について子どもの発達に影響があるのか?という研究をおこなったデータもあります。その研究では、長時間保育が子どもの発達に影響を及ぼさないという結論がなされました。

保育所保育指針解説では、長時間保育について、以下のように記されています。

保育所で長時間過ごす子どもは、就寝時刻が遅くなりがちになること がある。一人一人の子どもが、乳幼児期の子どもにふさわしい生活のリズムの中で、心身の健やかな発育・発達を支える上で必要となる食事や適度な休息をとる観点から、保育士等は子どもの生活全体を見通し、家庭と協力しながら心身の状態に応じて適切に援助していくことが大切である。

保育所保育指針 解説

長時間保育そのものが問題…というよりは、保育が長時間になるようなのであれば、園でゆっくりと休んだり、生活リズムが崩れないように家庭と連携していくことが大切になります。どちらが良い悪い、というわけではなく、それぞれが子どもに配慮して、負担を減らしていけるように取り組んでいくことが大事なのでしょう。

ただ、海外では週の保育時間に上限を定めている国もありますし、日本の長時間労働は見直されるべきだとも思います。こういう投稿が話題になり、「子どもの最善の利益」についての議論になるのは良いことかもしれませんね。


不適切保育を「内部告発」したら保育園に「脅されて」退職…通報者が守られない構図は民間でも役所でも

 川崎市内の保育園の不適切保育を内部告発した40代女性が、園側から「刑事告発を行う」と脅され、退職を余儀なくされたとして、運営する社会福祉法人「虹の会」(同市高津区)に損害賠償423万円などを求める訴訟を、横浜地裁川崎支部に起こしたことが分かった。女性は「不適切保育を前に、悩んでいる保育士はたくさんいるはず」と話し、内部告発した人が守られる環境を求めている。

2024年10月26日 東京新聞

虐待等と疑われる事案(不適切な保育)を告発された職員が、園側から刑事告発や損害賠償請求を検討していることを女性を含めた出席者全員の前で発言され、退職を余儀なくされたとのことです。

記事の中では、当女性職員が、園の中でベテラン保育士が、園児の手を強く引っ張ったり室内に園児を1人で置き去りにしたりしている姿を見たそうです。その旨を園長に相談したものの、園長よりベテラン保育士へ指導がされなかった為、市に相談し、市より園に指導が入ったようです。

その後、内部告発を受けて女性幹部が「こんなこと(内部告発)をして許されない」と他の職員を煽り、他の職員からも怒鳴られたり、無視されたり…と女性職員への職場内での居場所がなくなり、退職を余儀なくされた、とのことです。

本来ならばあってはならない話ですが…こういったケースは保育業界で、よくありそうですね。

なお、こども家庭庁の「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン(不適切な保育を防ぐガイドライン)」では、虐待等と疑われる事案が発生した場合の保育園側の対応について、以下のように記載されています。

虐待等に該当するのではないかと思うような事案と感じた場合 などには、保育所等の会議の場などで共有し、保育所等として、本ガイドライ ンの虐待等と疑われる事案(不適切な保育)かどうか確認されたい。

保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン

事実を確認した上で、職員への指導をするべきだったのですね。

また、今回のように不適切な保育を通告したことで、職場内に不和が生まれないよう、以下の二点を日常的におこなうことが推奨されています。

「振り返る時間を確保すること」
「指摘し合える関係性を築くこと」

園内研修や日々の振り返りの中で、自分たちの子どもへの対応を振り返ることで、お互いに指摘しやすい関係性を築き、未然に予防していくことが理想なのですね。

ただ、そのためには職員内の関係性の質や、園内研修の充実が不可欠になります。その部分をいかにマネジメントできるかが、重要になってきますね。

そのために必要な記事をいくつか書いているので、ご紹介します。

今回のような事は水面下で多く発生していると思います。
また、今回の報道を受け、子どもが虐待されている現場を目の当たりにしても、職場内での不和を恐れて、通告することをやめてしまう保育士もいるでしょう。

しかし、保育所はこどもの最善の利益を第一に考慮し、こども一人一人にとって心身ともに健やかに育つために最もふさわしい生活の場であるはずです。本来であれば、通告をした人が不利益になってしまうことはあってはなりません。園長などの経営者層が毅然と対応すべき事です。

不適切な保育を防ぐためのガイドラインをしっかり守り、このような事態が発生しないことを切に願います。

育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
「不適切な保育」の調査結果をもとに作成された最新のガイドラインです。


今月は7件のニュースを取り上げました。少しでもお役に立てれば幸いです!


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園内研修のススメ

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「子どもは自分自身で育つ力がある」
これまで保育士を経験し、たくさんの書籍を読み、学んだことです。
「子どもを育てよう!」と意気込んでしまうと、上手くいかなかったり、疲れてしまうことがあります。そのような時に「子どもは自分自身で育つ力がある」ということが信じられれば、気持ちが軽くなるかもしれません。

保育士の視点から、こどもの育つ力について、解説しています。

仕事でつまづかないコツ

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保育【制度、ガイドライン、ニュース】まとめ

🌈目の前の子どもが健やかに育つこと
🌈これからを生きる子ども達が希望を持って生きる社会を作ること

これは私たち大人の役割だと思います。そのためには、国の動向や社会のニュースを知る事が大切だと思います。それらをわかりやすく解説しています。

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